QDT 2018年4月号
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SPEAKER’S ARTICLEBホール10/6(SAT)午前Q‌D‌T第8回 日本国際歯科大会2018 前歯部修復における審美性の獲得。それは現代歯科において、単なる歯冠審美の再現に留まらず、歯肉審美の維持・改善、さらには口唇や顔貌との調和まで多岐にわたる配慮が必要とされている。またその中で、修復作業はある程度術者の主観が先行されがちではあるが、客観的な審美感のなかに己の主観をどう落とし込むかというところに真の奥深さを感じている。たとえば、「前歯をキレイにしたい」という主訴に対し、いったいどのように対処することが最善なのだろうか。患者の思い描く理想像とわれわれが描くものとの間には必ずズレが生じるため、これをいかに擦り寄せられるかが成功への近道となる。その際、もっとも必要とされることはセンスや経験ではなく、根拠ある明確な基準である。今や審美歯科は科学され、説明のつく対処が求められているからこそそう考えている。今回は、審美修復に欠かせないさまざまな評価基準に触れ、より完成度の高い審美の獲得に繋がる寄稿としたい。はじめに 美しく健康的な口元の演出には大きく3つの要素がかかわっている。1つ目は臨床歯冠、2つ目は歯肉、そして3つ目は口唇とそれらの関係性である。またそれらは、歯列の形状と上下顎骨の位置関係や筋機構(表情筋)などにも影響を受け、顔貌や年齢・性別と調和のとれた状態は、独自の個性を生み出すこととなる1-3。次ページから、いくつかの文献を紹介しつつ、前歯部審美にまつわる評価基準について詳しく解説する。前歯部修復に必要な審美評価基準Feature article #2─歯肉審美に配慮した審美修復治療のために─Various Esthetic Factorsfor Natural Smile Design都築優治Ray Dental labor京都府京都市山科区竹鼻竹ノ街道町18-8

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