QDT 2018年4月号
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98連載 部分床義歯を究める松本勝利 Katsutoshi Matsumoto歯科医師・医療法人社団慈愛恵真会 あらかい歯科医院福島県南会津郡南会津町関本下休場729‐1 1寒天・アルジネート連合印象を成功させるために部分床義歯を究める連載SPEAKER’S ARTICLECホール10/7(SUN)午後Q‌D‌T第8回 日本国際歯科大会2018SPEAKER’S ARTICLE10/6(SAT)午後第8回 日本国際歯科大会2018Dホール第6回 印象採得と床縁設定について(その2) ここからは、アルジネート印象採得の実際について述べていきたい。読者の皆様の中にはすべての部分床義歯の印象採得をシリコーン印象材で行っている方もおられるかもしれないが、臨床の現場では多くの場合、寒天・アルジネート連合印象、もしくはアルジネート印象材のみによる単純印象が行われている場合も散見する。単純印象では部分義歯製作時の精密印象には精度に疑問があるため不適であると思っているが、対合歯などでの印象においては十分な精度を担保できていると筆者は感じている。寒天・アルジネート連合印象は、手順やテクニックの良否により精度が低下しうるために使い方には注意が必要であるが、しっかりと諸事項を遵守した成功した寒天・アルジネート連合印象は、シリコーン印象との比較においても、ほぼ同等の精度が得られるといえる。ただ、シリコーン印象の絶対的な優位性は選択圧印象を確実に行うことが可能であり、かつ印象体の経時的な変形が少ないという点であり、寒天・アルジネート連合印象はその場で印象採得後速やかに石膏を注入できない場合には望んだ精度を担保できない可能性が高くなるために選択できない。院内に技工室がある場合に推奨される方法といえるであろう。 一方で、シリコーン印象材の場合には、院内で石膏を注入する場合もあるが、歯科技工士に注入を依頼したほうがよい場合が多い。なぜなら、歯科技工士自身が使用する金属や埋没材などの特性を考えた上で、それにふさわしい膨張率や強度をもつ石膏を選択し注入するほうが最終的な適合精度を高めることが可能とな98QDT Vol.43/2018 April page 0624

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