QDT 2018年5月号
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130連載 歯科技工作業のデジタル化はわれわれをどこに連れて行くのか? 将来残る手作業とは? 有床義歯の歴史は古く、多くの問題が指摘されてきているにもかかわらず、決定的な代替えの機材や技術が出てきていないのが現状である。デンチャーでのデジタル化(機械化)は、まだ技工作業の一部のステップがデジタル化されたにすぎず、クラウンブリッジのようにロストワックス法に代わるワークフローを提案できる程ではない。しかし、クラウンブリッジのようにデジタル化が進むことによって、今までのワークフローが一変し、問題点も解決される可能性をもっている。そのような中、今後のデンチャーのデジタル化においては、顎堤・顔貌・歯列等をデータベース化することによって、今までの先輩諸氏の臨床経験の蓄積を数値化して活用できるようになることが大切であろう。それらを排列技術の継承や簡素化、時間の短縮などの改善に繋げなければならないと考えている。顔貌計測が確立され、人工歯形態や色調のデータが総合的に使用できるようになれば、口腔内にて途中で試適をする必要性もなくなることもあるかもしれない。しかしながら未だに乗り越えられない問題点や、CAD/CAMや3Dプリンター等を利用したことによる新たな問題点が見えてきたのも事実である。今後、このデジタル化をより発展させるためには、患者に対する治療期間の短縮や治療結果の向上、治療コストの低減などを含めたサービスの向上を視野に入れ、開発を進めることが重要であると思われる。従来の義歯製作方法の大半がデジタル化されるには、それほど時間を要さないであろう。はじめに連載歯科技工作業のデジタル化はわれわれをどこに連れて行くのか?将来残る手作業とは?第9回 デジタルデンチャー②滝沢琢也/吉岡雅史/陸 誠コアデンタルラボ横浜神奈川県横浜市港南区大久保1‐5‐26匠の技とデジタルの融合から、さらなる新しいステージへ第8回 日本国際歯科大会201810/6(SAT)午前SPEAKER’S ARTICLEBホールQ‌D‌T図1 近年においては口腔内スキャナーを利用し、CAD/CAMを応用した補綴装置の製作法も広がりを見せ、ラボ内の作業風景も様変わりをしてきた。以前の歯科技工所では考えられない光景である。QDT Vol.43/2018 May page 0814

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