QDT 2018年6月号
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321図1~3 エックス線および臨床初見。図4 年齢に適した再建のために患者の若いころの写真を参考にする。図5 暫間義歯として下部は可撤性の部分床義歯、上顎は全部床義歯を製作。図6 抜歯後、暫間義歯を装着した患者。る。患者に対して予知性のある治療結果を達成するためには、トップダウントリートメント(補綴主導型)による治療計画が重要である。治療計画 43歳の患者女性は、上下顎が広範な歯周疾患に罹患しており、歯は保存不可能であった(図1~3)。幾度も慎重に打ち合わせを行った結果、チタンベース上にジルコニアブリッジを使用したオールセラミック修復をスクリュー固定することに決定した4,10,12。この方法は歯肉縁下深くに除去不可能なセメント残渣を残すリスクおよびプラークの付着しやすい材料の使用を回避できる。さらに修理が簡単であることと清掃性が良いという利点もある。はじめに 咬合関係の崩壊した上下顎に対するインプラント補綴修復は、関与するすべての人にとって、審美的にも機能的にも複雑な作業となる。事前に患者と補綴的解決策の可能性と関連費用についての話し合いを行い、関係者のいずれにも間違った不要な期待をもたせないことが重要である。 患者固有の咬合平面の再建と基準平面に基づいた咬合器への装着は、長期的に安定した機能的および審美的修復の製作にとっての決定要因である。そのためにはプロビジョナルレストレーションを徐々に最適化していくことが必要である。粘膜負担による可撤性義歯に始まり、続いてインプラント支持による暫間義歯、さらなる調整を加えた後、最終補綴処置を開始する前にスクリュー固定式の長期治療用暫間義歯に移行す

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