QDT 2018年6月号
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Feature article #2Case 1 歯頚部や隣接面を自然と馴染ませるためには?Point歯肉との移行部にはラスターポーセレンが必須編集部:前編では野平先生からご質問をしていただきました。後編では蛭﨑先生からご質問をしていただきたいと思います。蛭﨑:まずはケースを見ていただきたいと思います。このケースはスクリュー固定式のインプラント上部構造で、ジルコニアアバットメントの上に陶材を築盛して製作しました。また、反対側の近心にコンポジットレジン修復が行われていたので、歯科医師にコンポジットレジン修復をやり替えていただき、そこに形態を合わせる形で製作を進めていきました。 まず図1のシェード写真を加工して図2を作成しました。図2より目標とする明度はA1よりも高く、今回のシェードガイドの選択が間違っていたのかなと反省点が挙げられます。A1よりも明度の高いシェードとしてNWシェードを選択肢に入れておくべきだったと思います。 ベースの明度としてはNW0の築盛からスタートしました。歯頚部は少しピンクがかっていたので、インターナルステインのMO2にSalmon Pinkを少量混ぜ、彩度の調整を行いました。切端部の透明感は少しグレーが強い青っぽさを感じたのでTx+Aqua Blue1+Aqua Blue2+LT Super Grayを等量混ぜたものを築盛し、焼成後インターナルステインで補正を行いました。 完成したものを口腔内に装着しましたが(図3)、歯頚部付近に違和感を覚えました。患者さんは喜ばれていたのでそのままセットはされたのですが、写真で見ると、もう少し馴染ませることができたのではないかというのが感想です。 スクリュー固定式のインプラント上部構造の場合、歯肉からの立ち上がりの部分をどこまでジルコニアで設定し、そこからどれだけオペーシャスボディを築盛して明度をコントロールしていくか、自分の中で確証をもてていないというのが私の悩みです。このケースの場合は、オペーシャスボディを厚くして製作しています。本来であれば、立ち上がりの形態が決まっている状態で、そこから逆算してジルコニアで厚みを確保し、その上にデンチン陶材とエナメル陶材を築盛していくのが理想だとは

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