QDT 2018年8月号
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27インプラントオーバーデンチャー適応時のポイントを考える27ab インプラントオーバーデンチャー(以下IOD)は、全部床義歯あるいは部分床義歯の支持や維持の改善に効果的であることは、これまでのさまざまな報告や実際の臨床経験からも十分認識されている1,2(図1)。加えてIODがこれまで以上に注目されてきている背景として、近年、問題とされ、その予防策が求められているオーラルフレイル3や口腔機能低下症4に対してIODが効果的な手段のひとつとなりうることが挙げられる。実際、厚生労働省の歯科口腔保健に関する目標においても、高齢期における口腔機能の維持・向上を挙げており、その大きな理由として咀嚼機能の良否が栄養摂取状況や運動機能とも密接な関連性を有し、咀嚼等の口腔機能の維持向上がきわめて重要な健康課題であるとしている5。とりわけIODでは、アタッチメントを使用することで義歯の維持安定性が飛躍的に向上する結果、咀嚼機能の向上ならびに良好な栄養摂取が期待できる(図2、3)。 加えてインプラント治療を受けた患者自体の高齢化はじめに図1a、b IODの一例。部分床義歯、全部床義歯どちらにとってもインプラントが適切な位置に存在することによって、義歯の安定性ならびに口腔機能が大きく改善される。図2a~e IODの咀嚼機能に対する効果。75歳男性。下顎義歯の安定不良を主訴に来院された。下顎前歯部に2本インプラントを埋入し、ロケーターアタッチメントを利用したIODを装着した。その結果、グミゼリーを用いた咀嚼機能検査(10段階評価)においても術前は咀嚼不能であったのが、中程度の咀嚼機能を呈し、良好な結果が確認できる。a、b:術前。c~e:術後。acdbeQDT Vol.43/2018 August page 1213

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