QDT 2018年9月豪
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25前歯部インプラント治療 その前に:今こそ再考したい片側性ジルコニア接着ブリッジという選択肢25はじめに(中村)1.ジルコニア接着ブリッジは前歯部1歯欠損に適合するか!?(中村) 2015年の歯科補綴学専門用語集第4版(日本補綴歯科学会〔編〕、医歯薬出版)では、接着ブリッジは「1~2歯程度の欠損において支台歯の歯質削除を可能な限り少なくして製作された“金属”のフレームワークを接着性材料によって装着するブリッジ」と定義している(引用符は筆者)。これは、フレームの機械的精度および強度を有する非貴金属合金よりも、適合性に優れた貴金属合金が有用であることを意味する。 また、日本補綴歯科学会は、接着ブリッジの治療成績を可及的に向上させることを目的に、2017年に「接着ブリッジのガイドライン改訂版」を発行した。海外ではオールセラミックによる片側性接着ブリッジの適 ブリッジとは、少数歯欠損に対して支台歯間を連結し、形態・機能ならびに審美性を回復する歯根膜支持の橋義歯(xed partial denture)である。この補綴装置は支台装置(リテーナー)、ポンティック、連結部の3部から構成されており、従来型では支台歯を大幅に切削しなければならず、健全なエナメル質であってもそのほとんどを失うことになる。それゆえに、支台応を支持する論文が多く、その中からエビデンス評価に値する文献11編を挙げている。しかし一方で、片側性接着ブリッジが両側性と比較して生存率が劣るとしたメタアナリシスによる報告を基に、現段階ではその適応には慎重になるべきであると論じている。 そこで今回、ドイツ仕様の「片側性ジルコニア接着ブリッジ」が、咬断の頻度が高い日本人の切歯部でも適合できるかを検証することを目的に、大川友成氏(歯科技工士、ドイツ歯科技工マイスター)が緊急来日し、被験者である日本人の歯科医師に装着したトライアルケースを紹介する。歯を切削する必要がないことを理由にインプラントによる補綴装置が一様に選択されている。 一方、接着ブリッジは、支台歯の切削量が格段に少ないだけでなく、大がかりな外科処置も必要とせず、かつ欠損部歯槽骨の影響を受けにくいことから選択する頻度が増してもおかしくない(表1)。しかし、臨床応用されている症例は思いのほか数少なく、その理由■接着ブリッジの適応症①支台歯に健全エナメル質が十分に存在する②支台歯の骨植が良好である③外傷、先天性要因による欠損である④う蝕罹患傾向が低い(プラークコントロールが良好である)⑤支台歯に強い咬合力がかからない⑥インプラントの適用が困難である表1 接着ブリッジの適応症1、2。QDT Vol.43/2018 September page 1381

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