QDT 2018年9月豪
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69口腔内で機能するパーシャルデンチャーを製作するためのサベイドクラウンとの連携とその製作工程69はじめに パーシャルデンチャーを口腔内で長期的に維持・安定させるためには、欠損歯列の状態を把握し、機能時の力がどのように残存歯に加わるのか、そして、その力をどのようにコントロールするのかを考える必要がある。 筆者は本誌2017年5、6月号の「クラウンテクニシャンのためのサベイドクラウンのススメ」にて、“パーシャルデンチャーデザインを進めていく上で、欠損部位に回復される咀嚼ユニット(人工歯とレジン床からなる部分)をいかに維持安定させるかが機能回復の上で重要であることは周知の通りである。そして、咀嚼ユニットを安定させるためにはパーシャルデンチャーフレームワークの各コネクターで残存歯と咀嚼ユニットを一体化(二次固定)させる必要がある”と述べた。つまり、両側に跨るコネクターによりパーシャルデンチャーと残存歯を一体化させて“歯列弓の保全”および“咬合を安定”させるのがリジッドタイプのパーシャルデンチャーの目的であり、そのためには前処置(パーシャルデンチャーの装着される環境を整える)が重要であることも解説した。この前処置、すなわち鉤歯となる残存歯へのマウスプレパレーションや鉤歯が補綴処置される場合の“サベイドクラウン”が二次固定をするためのキーワードとなる。 では、欠損歯列に対してパーシャルデンチャーで対応する場合、二次固定によって安定した歯列弓を生み出すために、具体的にはどのようにサベイドクラウンを使ってデンチャーが装着される環境を整えるのか。また1人のテクニシャンがサベイドクラウンとパーシャルデンチャーを製作するのではなく、それぞれの専門テクニシャンが各々の製作を担当する症例の場合はどのようなコミュニケーションが必要なのか。本稿では、実際の臨床例を用いて、サベイドクラウンとパーシャルデンチャーを製作していく工程とその考え方を解説していきたい。QDT Vol.43/2018 September page 1425

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