QDT 2018年9月豪
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第3回 プロビジョナルレストレーションとファイナルレストレーション図5a、b プライマリープロビジョナルレストレーションを装着した状態。ここではOvoid形態の歯冠が付与されていたが、試適後の評価を踏まえ、形態とサイズの変更が必要であると判断した。また、本症例はFlat TypeのGingival Frameworkであったため、下部鼓型空隙への形態配慮も求められた。図4a~c まず、左側犬歯の歯肉退縮に対して結合組織を用いた根面被覆手術を行い、Gingival Frameworkの連続性と左右対称性を獲得するための補綴前処置を行っている。図3 本症例は上顎4前歯の歯冠修復症例である。術前の評価から、歯冠形態・色調に不調和が認められ、特に不揃いな歯肉レベルから前歯の審美性が損なわれていた。そして、歯冠・歯肉の審美性を改善させるために、外科処置と補綴操作によって理想的なGingival Frameworkの獲得に取り組んだ症例である。図6 そして、患者は軽度のガミースマイルであったことから、歯肉縁の位置を根尖側へと移動する必要があった。そのため、補綴的にサブジンジバルカントゥアをコントロールすることで歯肉レベルを調節することとした。歯肉縁形態の変更には、Zenith Pointを決定した後にFree Gingival Margin LineとFinish Lineが等間隔で相似形を辿るように意識して支台歯のマージン設定を行うことが理想的である。 前歯に見られる審美要件の中で、左右の対称性や後続歯への連続性を歯列レベルで獲得することは歯冠のみならず歯肉においても重要となる。しかしながら、修復部位が広範囲に及ぶほど歯の位置や対合関係などの既存の条件に修復結果が大きく影響を受けてしまうため、より包括的な視点からの臨床対応が求められる。歯肉レベルの改善とブラックトライアングルの閉鎖を行った症例Dentogingival Complex(歯-歯肉-歯槽骨の解剖学的関係)、③バイオタイプ(歯肉-骨-付着繊維などのボリューム)、④歯肉の形態・色調・性状、などへの配慮が重要で、歯冠審美との整合性を図りながら確実に対応しなければならない。そして、それらを踏まえ、いかに計画的に最終補綴装置に反映させるかは支台歯形成のデザインに託される部分が大きい。Finish LineFree Gingival Margin LineFlat Typeaabbc151QDT Vol.43/2018 September page 1507

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