QDT 2018年10月号
4/8

図1 ABCコンタクトによって最適な静的接触関係が規定される。上顎および下顎のスタンプカスプ(粉砕咬頭)と対応する中央窩とは、理想的な3点接触で対咬する。咬合した対の歯の断面を見ると、Aコンタクトは頬側、Cコンタクトは口腔側にある。はじめに 一般に、インプラント補綴における静的および動的咬合の概念は、従来の補綴における概念に基づいている。しかし、他の修復装置と比べインプラント修復に対する負荷は高くなるため、可能な限りバランシングコンタクトおよび側方運動時の干渉は避けなければならない。また、インプラント修復において推奨されている咬合は、主に理論的考察に基づいているが、それを裏づける十分な臨床研究がない。したがって、インプラント上部構造のリスク分析においても咬合要因は考慮されていない1。 SalviとBrägger6は、ブラキシズム患者は、ブラキシズムを有しない患者に比べ複合的な力学性欠陥(前装材剥離、チッピング等)が生じるリスクが高いことを報告した。特に、ジルコニア支持のオールセラミック修復の分野では、静的および動的咬合最適化の重要性が明確に指摘されている4。バイオメカニカル・オクルージョン(生体力学的咬合)の概念 古典的なワックスアップの概念(例えばThomas PK,Tateno9のような)では、個々のコンタクトポイン図2 咬合面のデジタル合成では、静的咬合(赤)、前方運動コンタクト(茶)、内側方運動コンタクト(緑)、外側方運動コンタクト(青)、前側方運動コンタクト(黄)の表示が可能である。ここでは上顎左側第一大臼歯を例に示す(図3も参照)。上顎左側第一大臼歯下顎左側第一大臼歯頬側頬側ABCABC舌側舌側12

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る