QDT 2018年10月号
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 筆者が会社を設立した岩手県盛岡市は人口30万人程度の小さな街ではあるが、全国的にみても人口に対する歯科医院数の割合が多い土地である。そのためか、インプラントなどの仕事も多く、特に歯肉部を含むボーンアンカードブリッジなどの大規模補綴の症例を手がけることも多かった。ただ当時は歯肉部を再現する手法は確立されておらず、写真を見ながら歯肉色を真似て製作することしかできなかった。そのため、筆者も当初は歯肉色を再現することに非常に苦労した。インターネットで調べたり、メールで歯肉部製作に長けた諸先輩方に製作法を聞いてみたり、歯肉色製作について解説されている数少ない文献を探して参考にしたりもした。しかし、なんとなく手探りで色を重ね、やっと完成したものもどこかおかしい。または、上手くいった場合でもなぜ上手くいったのかは分からない状態であった。 そんな中、色調を再現する方法について原点回帰して考えてみようと思い、歯冠部の色調再現方法を参考にした。ここで、筆者が歯冠部を製作するにあたってもっとも重要だと考え、そしてベースとしている手法であるアナトミカルシェーディングテクニックについて簡単に紹介したい。若い歯科技工士にはあまり耳馴染みがないかもしれないが、このアナトミカルシェーディングテクニックは筆者の師匠である桑田正博氏はじめに─アナトミカルジンジバルシェーディングテクニックができるまで

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