QDT 2019年1月号
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25デジタルの変遷・限界・適応を理解したIOSと3Dプリンティング模型の使いこなし(前編)25 口腔内スキャナ(以下、IOS)を臨床に取り入れることは、作業の効率化、多様な補綴物製作、そして資料のデータベース化など多くのメリットをもたらす。しかし、多くのメーカーが模型レスによる臨床ステップの簡素化や設備投資に対する回収率の高さをうたい「次の一手」として積極的なプロモーションをしている一方で、適応範囲や注意事項などの具体的な臨床プロトコルが不十分なままで販売されていると言わざるを得ない。昨今では、IOSによる適応症を探るための誤差が発生する要因などに関するさまざまな基礎的研究とそれらに対応する臨床報告が行われている。とはいえ、IOSを臨床応用することの最終目標である従来のアナログ印象と同等の適合精度、機能性、審美性を達成することに対する治療概念と治療戦略に対する明確な指標が確立されているとは言い難い。 そこで、本稿(前半)では、デジタル技術の世代別変遷にはじまり、IOSを利用した補綴臨床を成功させるために必要とされる基本的な考慮事項と対応について解説したい。▲はじめに▲1.デジタル技術の世代別変遷(小濱、表1) 補綴物製作におけるほとんどの作業がシリコーン印象を経て石膏模型製作→ワックスアップ→埋没→鋳造→築盛とアナログで行われていた(図1)。一方、オールセラミックの審美的優位性は認識されてはいたが、強度不足と象牙質との接着の問題から積極的に臨床応用されなかった。1990年代後半からは、インプラントデジタル技術の変遷デジタル技術の変遷医院サイドラボサイド印象採得模型製作ワックスアップ補綴物製作アナログアナログアナログアナログデジタルデジタルデジタル印象材印象材印象材石膏模型石膏模型石膏模型鋳造、削合、鋳接&陶材築盛ワックスアップ後CAD/CAMCAD/CAMスキャニング口腔内スキャナ光造形模型CAD design/CAM第1世代第2世代第3世代第4世代表1 デジタル技術の変遷。QDT Vol.44/2019 January page 0025

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