QDT 2019年1月号
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106連載 部分床義歯を究める松本勝利 Katsutoshi Matsumoto歯科医師・医療法人社団慈愛恵真会 あらかい歯科医院福島県南会津郡南会津町関本下休場729‐1部分床義歯を究める連載第13回 歯科技工士とのコラボレーションと超高精度耐火模型の製作 ここで、歯科技工士とのコラボレーションの一例として、川島 哲氏(ユニデント)と共同で取り組んだ症例について示す。 図1に、石膏模型上に設計線を描記した状態を示す。レストやガイドプレーンの位置など、本連載でこれまでに述べてきた要素が反映されている。また、違和感を覚えやすい上顎の部分床義歯を製作する場合には、かならずトライアルプレートを製作している(図2)。この症例の上顎に対しては、イニシャルにて図3に示す模型上の黒いラインに沿った理想的なポジションに設計した形態のトライアルプレートを製作したのだが患者から違和感を訴えられた。筆者としては、形態が大きすぎて違和感を覚えているのかと思い辺縁を削合したところ、「逆に違和感が強くなる」とのことだったため、模型に戻した上で延長し、この症例の場合には、最終的に図3中の赤いラインの形態で患者の了承を得ることができた。これにより、患者の口腔内でさらに理想的なポジションにするべく口腔内にて最終調整を行うことができた。 このように、トライアルプレートを製作して最終義歯製作に臨むことは患者満足度向上のためにはとても大切なことであり、金属床を用いた義歯治療において患者から「治療してもらった」のではなく「お金を取られた」という評価を得ないようにするためには重要な事項であることを痛感させられた症例のひとつである。 それゆえにトライアルプレートは重要であり、厚みも最終義歯に合わせた状態にて製作することが重要である。また、この時点では鉤歯の治療や歯冠修復が完 1歯科技工士とのコラボレーション106QDT Vol.44/2019 January page 0106

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