QDT 2019年2月号
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81埋入シミュレーションソフトBlue Sky Planの使用法(前編) 昨今、インプラント体の埋入に際しガイデッドサージェリーの重要性が見直されている。術者の側から見ても手術時間の短縮、危険回避、患者への手術侵襲の低減などのメリットが多くあるが、最近では患者サイドから同様の理由によってガイデッドサージェリーを求められるケースが多い。 マスコミなどでインプラント手術時の事故などが報じられるたびに、インプラント治療をいたずらに避けたがる患者が増え、再びなだらかに需要が高まるという無意味な繰り返しが過去に起きていたが、最近では「事故のトラブルを回避する方法としてガイデッドサージェリーというものが存在する」ということが認知され始めたためではないだろうか? また、ガイデッドサージェリーにおいては、筆者のみならずフラップレス術式を併用する歯科医師が増えてきており、結果として術後の腫脹・疼痛なども大幅に軽減されることも知られ始めているようである。 サージカルガイドを用いたインプラント体の埋入手術にはいくつかのメリットがある。もちろん、ただ単にガイドを用いるのではなく、ガイドを製作するための3Dシミュレーションが重要であることに起因する。1)最終的な補綴に関して高い予知性が得られる インプラント治療の目的は、いうまでもなく「補綴物を装着し咬合を回復する」ことである。つまり、最終的な補綴物の形態などが予知されていなければその つまり、「安全で痛みなどの不快な症状が出にくい」方法があるということを、患者の側が知り始めているのである。患者がその術式を求めるのは当然のことであり、それに応えることのできない歯科医院が敬遠されてしまうことも同じく当然といえる。 また、歯科技工所サイドから見ても、歯科医院からの要請でサージカルガイドを製作するという新しい需要が生まれることとなる。従来インプラントメーカーのみが製作していたサージカルガイドを一般の歯科技工所で製作することで、より患者に寄り添ったガイデッドサージェリーの提供に寄与できるのである。 このように、ガイデッドサージェリーを求める患者の声は日に日に高まっており、その安全性・快適性をマスコミが報じる機会も増えてきている。この先、サージカルガイドを用いずにインプラント体の埋入を行うことは次第に困難になっていくであろうことは想像するに難くない。時点で治療は失敗しているということにほかならない。 逆に、インプラント体の埋入シミュレート時に治療完成後の状態が予測できれば治療の成功は約束されたようなものである。2)インプラント体の埋入に対する精度の高いシミュレーション インプラントシミュレーションソフト(サージカルガイド製作ソフトではなくあえてこう呼ぶ)を用い、CTによるDICOMデータおよび顎のSTLデータを基にはじめに:ガイデッドサージェリーの普及が与える影響1.ガイデッドサージェリーの有用性QDT Vol.44/2019 February page 0243

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