QDT 2019年2月号
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94部分床義歯を究める連載松本勝利 Katsutoshi Matsumoto歯科医師・医療法人社団慈愛恵真会 あらかい歯科医院福島県南会津郡南会津町関本下休場729‐1第14回 スーパーストラクチャーポジションの設定 スーパーストラクチャーの理想的なポジションについて、上顎を図1に、下顎を図2に示す。それぞれの歯種ごとに「どの歯はどこに存在するべきか、そして何を機能させるべきか」という理由が存在するため、それらに則りながら適正な位置に確実に位置づけることが重要である。そして余剰な応力がかからないように圧中立帯であるニュートラルゾーンに排列することも重要である。 床義歯における人工歯の歯根がどこに位置するように排列するかは重要なことであり、とくに下顎前歯は舌小帯の付け根から下顎正中線に対しての垂線と、下唇小帯の付け根から下顎正中線に対しての垂線の間に人工歯の歯根が向かうように排列しなければ(図3)、大開口時に床義歯は浮き上がってしまう傾向にあり、床義歯の安定には繋がらない。そのため、人工歯には歯根がないが、あたかも人工歯に歯根があるつもりで排列するとよい。 また、コルベン形態様のTop ofボーダー~外ボーダーまでがつねに口腔粘膜に触れていることは、全部床義歯においては義歯の維持を阻害されないためには重要なことであるが、部分床義歯においては余剰にかかった外力が鉤歯に害力(有害な力)として加わってしまい、インプラントやクラウン・ブリッジにおいてはインプラント体やアバットメントなど、そして歯根に害力が加わってしまうことになるので注意が必要である。 一方で、咬合の付与における注意であるが、これは床義歯においてもインプラントにおいても、そして天 1スーパーストラクチャーポジションと咬合調整について:その概要QDT Vol.44/2019 February page 0256

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