QDT 2019年3月号
1/8

 筆者は株式会社松風の技術開発アドバイザーとして、同社の製品開発に40数年間携わってきた。こうした中、昨年になり筆者の念願だった材料が開発され、すでに完成されていた技法と組み合わせることで従来までと異なったセラミッククラウンの製作方法が可能になったのでここにご報告したい。 この新材料はステインのパウダー・練和液・グレージングパウダーと、一見するとこれまでと代わり映えしないように思える。また商品名も、「ヴィンテージ アート ユニバーサルシステム」と、少し仰々しいように感じられる。しかし、これは松風社研究開発部員が長期にわたって蓄積してきた科学的成果の結晶である。本稿を通じ、筆者は本製品への感謝を表すと同時に、松風社のアドバイザーとしての立場からではなく、ひとりの歯科技工士としてこの新材料の可能性を100%を活かす技法を用い、ユーザーの視点から厳しく精査したい。今回はまず、本製品を用いて焼成前に色調を目視しながら審美的なクラウンを簡素な方法で製作する技法を紹介する。 はじめにお断りしておくが、ここで紹介する技法には筆者独自の方法が含まれており、メーカーの取扱説明書には記されていない部分も多くある。実際に応用する際にはご注意いただきたい(取扱説明書のとおりに使用すればきわめてトラブルは少ない)。Feature article ♯1セラミッククラウンの技法を科学するPart 1:セラミックス用新材料を用いた技法と製作法はじめに -ヴィンテージ アート ユニバーサルシステムを用いて歯科技工士・浜崎セラミストINC./セラミストクラブ代表/(株)松風上級アドバイザー徳島県徳島市国府町池尻37-3浜崎信夫 Nobuo Hamasaki

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る