QDT 2019年3月号
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71セラミッククラウンの色の調和 画像合成試適の高効率化を図るための理論と実践― 本法における問題点の一部としては以下、〔1〕口腔内で撮影した合成用写真と模型上で撮影した合成用写真の画角(定点における撮影距離)のズレ〔2〕マニュアル設定におけるスピードライト(フラッシュ)の微妙な発光量のズレが挙げられる。本誌2018年1月号で述べた条件(図1)の合成用写真同士の露出を固定するために設定する撮影機材の各種設定項目の中で露出を狂わせる可能性があるのが、撮影距離とスピードライトの発光量である。合成用写真の撮影自体がフリーハンドでの撮影となるため、〔1〕をなくすためには、口腔内で撮影した合成用写真に対して模型上の写真を撮影した際に瞬時にズレに気づき再度修正した画角で撮影できる技術が必要である(図2)。これは技術というよりも、モニターに投影した口腔内の合成用写真とカメラの背面液晶の確認用映像を比較してズレに気づけるかという観察力の問題でもある。トレーニングすれば大きな問題ではないが、撮影のたびに一発で正確な画角で撮影するにはそれなりの技術が必要で、筆者も〔2〕の問題も含めて一発のショットで撮影を終わらせてはいなかった。 〔2〕は、前回述べた条件の「露出を固定する」という要件の弊害となる要素であり、無視して進めれば、作業効率とは関係なく正確性を欠くことになる問題である。前回述べたカメラのボディ側の設定とスピードライトの発光量、撮影距離をマニュアルで固定していれば理屈では露出はズレないが、実際には微妙に変化する(図3~5)。その原因が、スピードライトの発光量である。電源の種類によっても状況が変わる問題であるが、いかに好条件にしても、現状、ヒストグラムで一切のズレもなく完璧に一定の発光量とすることは不可能である。これは、Nikon、Canonともに差はあるものの同様で、機械の構造に起因すると思われる。筆者はこれに対する対応策として、定点を設けてヒストグラムを“読み”つつ発光量のズレに対応してきた。つまり、ズレたのを確認したら再度シャッターを切って次の画像を再度ヒストグラムで確認するというものだが、相応の慣れが必要な上に2回目の撮影で任意の発光量となる確証もなく、条件を変えて数回シャッターを切ることもあった。そして、自身で決めた許容範囲に入った露出の画像を撮影できた時点で完了としていた。これを考慮しても、1回の合成作業を1分強の時間で完了できるまでに慣れていたので問題視はしていなかったが、前述の画角の修正とあわせて確認していたため、作業が煩雑となり効率は悪いと感じていた。このことから、一般における術者再現性を考慮すると、これらの問題を解決して一発のショットで済ませる方法が理想となる。作業効率を下げる問題点①同一機材による撮影(デジタルカメラボディ・レンズ・スピードライト・ディフューザー)②マニュアル設定で露出がズレないこと③合成用口腔内写真と模型上合成写真の2枚を、距離・角度を変えないで撮れる撮影技術が必要④背景色を黒で統一した撮影(コントラスターの使用)⑤擬似支台歯模型+擬似歯肉模型の使用⑥歯が乾燥していないこと(常に乾燥している場合はこれに限らない)図1 画像合成試適に必要な条件(QDT 2018年1月号より再掲)。QDT Vol.44/2019 March page 0395

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