QDT 2019年5月号
5/8

 前号のPart2ではRose Technique Systemの理論と一部技法の紹介を行った。本号ではその実践編としてセミシンタ焼成法の可能性と技法を余すことなく画像を駆使して紹介する。 筆者は、40年あまり歯科技工に携わり、最高の師に技と知識を伝承していただき、今日まで順風満帆の人生を過ごしてきた。しかし、8年前に突然若者が、「あまりにも勉強をしすぎて基本が何かという単純なことが分からなくなってしまった」と訴えて筆者のラボを訪れた。筆者はこれまで、師とともに製品開発や歯科技工の未来の話をするという、その世界だけで十分に満たされていた。公に出ようとすることのない自己中心型であった。 それからも、何人かの若者が筆者に技術の伝授を懇願してきたが、根本の解決の糸口さえ見つけられず8年間、曖昧な技法を教えながら過ごしてしまった。その原因は、ハイテクニックな技法を、高い立ち位置から教えようとしてきたことにあると思う。しかしある時、これまでの技法を白紙にして、歯科技工の枠内ではなく一般工業的に思考している時期にジルコニアのセミシンタディスクを目の前にし、それを無性にカービングしたくなった瞬間に何かが生まれる予感がした。その後、セミシンタ試験片での実験に至り、きわめて順調に実験は成功し、Rose Technique Systemが完成された。それと並行して松風ヴィンテージ アート ユニバーサル システムと山本リキッドという、開発のアドバイスをしてきた製品が完成した。このすべての技法と材料が化学反応し、ゼロからのセラミックスの新技法を創生できたと実感している。 今回は前号Part2に引き続き、「従来のセラミッククラウン築盛法と新築盛法の比較」から説明し実践編へと進みたい。はじめに歯科技工士・浜崎セラミストINC./セラミストクラブ代表/(株)松風上級アドバイザー徳島県徳島市国府町池尻37-3浜崎信夫 Nobuo Hamasakiセラミッククラウンの技法を科学するPart 3:新技法「Rose Technique Systemセミシンタ築盛法」を用いたセラミッククラウンの製作法(後編:実践編)Feature article ♯3

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る