QDT 2019年5月号
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104Feature article ♯3 図1、2に、従来のセラミッククラウン築盛法と新築盛法の比較について示す。従来の築盛法として提示したサンプル(図1の上段)は十数年前の技法による作品試料であり記憶も薄れているが、覚えていることは透過率の高いエナメルとマメロンの難易度が非常に高かった点であり、完成に至っていないかと思う。図3のように再製を繰り返した5本中の1本がこの作品であった。筆者は技工所勤務であり患者を近くにして研究はできず、やむを得ず天然歯を収集しそれを手本にしてセラミッククラウンの製作をした。収集した天然歯は数百本(図4)に及ぶが、その中のもっとも難しい症例に挑んでしまい、その結果かなりの再製を重ね、天然歯のメカニズムの多くのデータを採得できた。 まず、再製の第一の原因は多層築盛法で一気に結果を求めたことである。これはたとえるならば遠くの的を無誘導の砲弾で狙うようなもので、そうは当たらない。1発目の着弾位置から計算して近位に着弾させ、3回目ぐらいで許容範囲の審美性に到達する。 従来はこのような方法だったが新技法で十数年ぶりに挑戦した。予備のコーピングを用意して取り組んだが、意外にも1回目の製作で許容範囲の作品を完成させることができた。それが新技法で製作したセラミッククラウンである。この技法は、狙いどおりの結果が得られるという意味で、「色調調整ナビゲーション搭1.実例にみる従来の築盛法とセミシンタ築盛法との違い従来のセラミッククラウン築盛法と新築盛法(セミシンタ築盛法)の比較図1 従来のセラミッククラウン築盛法と新築製法(セミシンタ築盛法)の比較(セミシンタ法の完成時は、天然歯との比較のために左右反転して示した)。従来の築盛法新築盛法Step 1Step 2Step 3歯頚部色(焼成1回)歯頚部色(焼成1回)ボディ築盛舌側面カットバック築盛法~カラーパウダー築盛焼成(焼成2回)セミシンタ法ボディー築盛(舌側面カットバック築盛法)セミシンタ焼成(焼成1.5回)象牙質構造カービングフルシンタ焼成(エナメルステインステージ築盛)(焼成2.5回)インナー立体ステイニング(焼成3.5回)ステイン用エナメル築盛(焼成3回)ステイン用エナメル築盛(焼成4.5回)QDT Vol.44/2019 May page 0760

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