QDT 2019年6月号
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53オペーク色レジンセメントを活用したマスキング方法の考察オペークセメントについて 現在、さまざまなメーカーがレジンセメントの開発・販売を行っており、各メーカーはそれぞれ透明度や色調の異なる複数の商品をラインナップしている。冒頭で述べたように、筆者はそのラインナップの中で、変色支台歯に対するマスキング効果とレジン系コアなどにおける補綴物の明度低下を防ぐことを目的として、もっとも不透明なオペーク色を使用していただく機会が増えた。さまざまなレジンセメントがある中で、しっかりとしたマスキング効果が期待できること、アミンフリーのため変色もしにくいことから、筆者はパナビアV5(クラレノリタケデンタル)のオペークセメントを選択している(図2)。他メーカーのオペークセメントの場合、以降の検証とは異なるマスキング効果になる可能性もあるので、予めご了承いただければと思う。また、レジンセメントによってはトライインペーストがラインナップされており、口腔内や模型上で手軽にマスキング効果の確認を行うことができる。 なお、クラウンの装着時、チェアサイドでもっとも色調や明度の合うセメント色を探っていただくのではなく、ラボサイドでセメント色まで考慮したうえでクラウンを製作し、こちらからセメントを指定させていただいている。そのため、歯科医院に指定のセメントの在庫がない場合には、ラボサイドで購入したものを貸し出し、それを用いてセットしていただいている(図3)。 しかし、オペークセメントが有用なことは確かではあるが、当然のことながらすべての症例で使用して良いわけではない。図4のような変色のない支台歯の場合、オペークセメントを使用することによって自然感が損なわれる場合がある。図4a、b 歯科医師にご協力いただき、左右違うトライインペーストを使用して試適を行った。オペーク色を使用したことで自然感が損なわれていることが確認できる。オペーククリア図2a、b しっかりとしたマスキング効果が期待できること、アミンフリーのため変色もしにくいことから、筆者はパナビアV5(クラレノリタケデンタル)のオペークセメントを選択している(本図はクラレノリタケデンタルより提供)。図3 オペークセメントを購入し、必要に応じて補綴物の納品とともに歯科医院への貸し出しを行っている。ababQDT Vol.44/2019 June page 0911

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