QDT 2019年6月号
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99“No more wax up”は本当に可能か? ─デジタル化を見据えた今後の歯科技工所の在り方─(中編) 今回はIOSの性能と機能を理解したうえで、それを臨床に活かした一連の流れに注視してみたい。その大前提として、まず歯科技工士もIOSの使い方を熟知し、できること、できないことの判別と起こりやすいエラー要因は何かをわかっていなければならないし、一方で歯科医師もそのデータをデザインソフトに移してから、どのようにしてデザインしていくか、またどのような支台歯形成あるいはデータがデザインしやすいのか、マテリアルの選択も含めCAMで切削可能なデータとはどういうものなのかを理解しておくべきである。つまり、扱う、扱わないは別として、相互に共 複数の歯科医院の仕事を扱う歯科技工所は、それが遠隔地であればなおさらのことだが、スライドデータやIOSデータの受け入れにクラウドサービスを使うと便利であろう。弊社でもいくつかのクラウドを使い分けて、共有フォルダで必要な情報のみを共有し、管理通認識としてのデジタルソリューションをわかっていなければならないのだが、残念なことに私の感じる限りその共通認識は非常に乏しい。 IOSを使った補綴治療がうまくいかない場合のほとんどは、一方通行な情報のみでお互いが噛み合わない、共通認識の欠如によるヒューマンエラーではなかろうか。技工作業のデジタル化だけでなく、IOSが普及していくことで、トータルソリューションとしてのデジタルデバイスが揃ったのだから、本当の意味でのDigital Dentistryについて考えてみたい。している(図1)。 近年の補綴主導型インプラント治療計画は、石膏模型に診断用ワックスアップを行い、それを基にCT撮影用のテンプレートを製作し、CT撮影したデータをプランニングソフトに落とし込んで設計するのが通法“No more wax up”はじめに“No more wax up”データを扱う体制を整える図1 TRIOS(3Shape)であれば、専用クラウドサービス3Shape Communicateに登録し、歯科医院と歯科技工所をコネクトしておくと、送信ボタンひとつで簡単にスキャンデータを送付できる。スマートフォンやタブレットにこのアプリを入れておくと、どこにいてもデータ内容の確認ができるので、ラボ内でもデータを共有しながら作業を進めることができる。QDT Vol.44/2019 June page 0957

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