QDT 2019年8月号
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49インプラントオーバーデンチャーを成功させる考え方と製作ステップ(後編) 本稿では、インプラントオーバーデンチャー(以降IOD、本稿においては2本のインプラントによるIODを2-IOD、4本の場合を4-IOD、6本の場合を6-IODと称す)の症例にてClassⅠ、ClassⅡ、ClassⅢに対する考え方を解説していきたい。なお本稿の内容は、佐藤幸司先生から教えていただいた情報を改変したもの、そして筆者自身が現在BPSテクニカルインストラクターを務めていることからIvoclar Vivadentから提供していただくことができた人工歯開発研究の過程で得た情報をベースにして、それを筆者が現在行っている臨床に落とし込んだものである。ClassⅠオーバーバイト 2mmノーマルバイトClassⅡオーバーバイト 3~3.5mmディープバイトClassⅢオーバーバイト 0.5~1mmクロスバイトなど図1 ClassⅠ、Ⅱ、Ⅲの特徴(本図は佐藤幸司先生がBPSのコースで用いていた資料を提供していただいたものを引用して作図)。 ClassⅠ、Ⅱ、Ⅲは一般的にAngleの分類を使用することが多い。これは上下顎第一大臼歯の関係から考えた不正咬合の分類方法である(図2)。その中でClassⅡに関してはさらに1類と2類に分類される。1類は上顎前歯の前突をともなうもの(図3a)、2類は上顎前歯が内傾するものである(図3b)。 しかし、無歯顎となった総義歯症例においてはAngleの分類では分けることができないため、上下顎間関係、顔貌、下顎枝の長さ、咬筋の付着方向等で判断することとなる(図4)。一般的にClassⅡは下顎枝の劣成長、ClassⅢは下顎枝の過成長となり、咬筋の付着方向も変化する(図5)。図4の顔貌写真は本稿で紹介する患者のものであるが、ClassⅠ、Ⅱ、Ⅲを見比べてみると、下顎骨と咬筋の走行が想像できると思う。この差は咀嚼時の閉口路の変化として現れる。ClassⅡが後方から噛み込むのに対し、ClassⅢは垂直に噛み込む。この関係は咬合平面にも影響する。ClassⅠと比較して、ClassⅡは後ろ上がりに湾曲し (図6b)、ClassⅢは後ろ下がりへ湾曲する(図6c)。筆者は咬合平面をシンプルにレトロモラーパッドの高さによって決定している。ClassⅠはレトロモラーパッドの1/2~2/3(図7a)、ClassⅡはレトロモラーパッ基本的なClassⅠ、Ⅱ、Ⅲの考え方QDT Vol.44/2019 August page 1243

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