QDT 2019年8月号
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97第1回 ポーセレンラミネートベニア(PLV)編 接着技術の進化によって臨床応用が可能になったPLVであるが、その他の補綴修復装置の装着時にはみられない独特の注意点がある。それはシーティングの際に、浮き上がりやズレが生じやすい傾向がある点である。 PLVの装着には接着性レジンセメントが使用されることが多い。それはプライミング、ボンディングなどの接着前処理が必要なものや、必要ないものなど、さまざまな製品が存在する。それらの使い分けは術者に委ねられており、予後に差が出てくることも多い。またデュアルキュアタイプのレジンセメントを使用する場合、装着時間に制限があり、とくにシーティングが難しいPLVでは余剰セメントの除去中に硬化が始まり、位置ずれを起こす可能性もある。 本項ではまず、筆者が臨床においてPLVの装着にあたって用意している資器材を紹介する(図1~9)。 そこで近年では、直接修復治療に使用するコンポジットレジンを用いた接着方法も行われている。ライトキュア(光重合)タイプのコンポジットレジンは操作時間に余裕があるため、余剰セメント除去中に硬化してしまうこともなく、シーティングを確実にすることが可能である。その一方で、ペーストタイプのコンポジットレジンは接着性レジンセメントと比較すると流動性が低いことが多く、装着時に補綴修復装置の浮き上がりが起こらないよう細心の注意を払う必要性がある。しかし、コンポジットレジンを用いた装着法は、強力な接着力を発揮し、レジンの劣化も起こりにくく補綴装置内面のレジンの変色やマージンの褐線なども生じにくいなど、メリットは大きいと思われる。そこで本稿では、この手順について示していく。PLVの装着で注意したい点Esthetic CEMENTATION筆者が用意しているものEsthetic CEMENTATION図1 ラバーダム。ラテックス素材のほうが伸展性があるが、ラテックスアレルギーのある患者の場合はノンラテックスのものを使用する(DermaDam、ウルトラデント)。図2 ラバーダムクランプ。前歯、小臼歯、大臼歯に大きく分けて選択(ヒューフレディおよびデンテック)。図3 ラバーダムパンチとフォーセップス、ラバーダムフレーム(ヒューフレディおよびYDM)。123QDT Vol.44/2019 August page 1291

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