QDT 2019年9月号
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歯科医師・かわかみ歯科医院富山県氷見市加納483-1川上清志 Kiyoshi Kawakanmi 補綴とは、「補い綴る」と記すとおり、かつて口腔内に存在した組織の形態を模倣・回復することを主体とする歯科医療の分野である。その一方で、とかく形態や色調にのみ注目が集まりがちな傾向があり、とくに小誌のように歯科技工士の読者も多い雑誌ではその傾向が強くなりがちである。しかし、形態を模倣した結果としての「機能」にも着目しなければ、歯科医療の目的を達成できないことはいうまでもない。 補綴治療における機能を語る上ではさまざまな指標が存在するが、今回は咀嚼時の食物の粉砕において重要な役割をもつ「主機能部位」に焦点を当てる。主機能部位はどこに、なぜ存在するのか。また、主機能部位が存在した歯が失われた場合には何が起きるのか。主機能部位について知り、考えることで補綴装置の位置や形態について得られるヒントは数多い。そこで本企画では、この主機能部位に関し、その概念を学び、かつ臨床の中での考察・応用を深めておられる川上清志先生(富山県開業)にご解説いただく。(編集部)【企画趣旨】Feature Article #1主機能部位とは何か?─咀嚼を中心とした補綴治療のために─(前編)「患者がどこで噛んでいるのか?」を知ること──それが、補綴の道標のひとつとなる。

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