QDT 2019年11月号
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27座談会:Dr-DT-DHの「三位一体」で活用する口腔内スキャナー ─コミュニケーションツールとしての視点から─●10年以上前からCERECシステムを導入星:私は現在、神奈川歯科大学附属病院先進歯科医療センター(以下、センター)の中にあるデジタル歯科診療科(以下、本科)の科長を務めています。本日は、私たちスタッフがセンターの中で口腔内スキャナー(Intraoral Scanner、以下、IOS)を印象採得のツールとしてのみならず患者とチェアサイド、ラボサイドをつなぐコミュニケーションツールとして活用していることについて、主に示していきたいと思います。 このセンターは2017年に竣工し、本科もスタート以来1年半にわたって臨床を続けていますが、旧医院でも10年以上前からCEREC(シロナデンタルシステムズ)やTRIOS(3Shape)を導入していました。CERECはBlueCamとOmnicam、TRIOSは2と3を使用してきました(図1)。●「CERECがあれば歯科技工士いらず」は錯覚だった星:IOSによる印象採得のメリットについてはすでに読者の皆さんもご存じのとおりで、私たちもいかに患者さんや術者にとってストレスなく印象採得できるか、そして、その精度はどの程度か、という部分に注目してきました。中でも、従来のIOSと現在のIOS共神奈川歯科大学附属病院におけるこれまでのIOSの活用と、「デジタル歯科診療科」の設立に至るまでの経緯企画趣旨:口腔内スキャナー(以下、IOS)は、その名のとおり口腔内組織を光学的に印象採得する装置であり、従来の印象用トレーと印象材を置き換えることを大きな目標として開発が進められてきた。昨今では性能の向上とともに低価格化も進み、導入への障壁も次第に下がってきている。 しかし、IOSがもつ機能は従来の印象採得を代替することにとどまらないことに気づいているユーザーはどれだけおられるだろうか。すなわち、カラーによるスキャンが可能なIOSは、従来の石膏模型やペン型口腔内カメラとは異なった歯列全体の3D画像を患者および術者に提示することができ、従来型の印象採得以上の価値を歯科臨床にもたらすことができる。形成前後の形態の比較や、染め出しの確認などにおけるインパクトは、従来のメディアでは得られないものがある。 とかく、従来型の印象採得との精度や時間の比較ばかりが話題となるIOSであるが、既存のカラーIOSを活用し、歯科医師、歯科技工士、そして歯科衛生士がIOSをコミュニケーションの中心に据えることで、これまでにない有機的なつながりが生まれてくる。そこで本企画では、実際にIOSをコミュニケーションの中心に据えた歯科臨床に取り組んでおられる先生方に、そのメリットや実例などについてご提示いただく。(編集部)1990年神奈川歯科大学附属歯科技工専門学校専攻科卒業、神奈川歯科大学附属病院技工科勤務2016年神奈川歯科大学附属病院技工科主任2018年神奈川歯科大学 総合歯科学講座助手、神奈川歯科大学附属病院技工科主任現在に至る清宮一秀QDT Vol.44/2019 November page 1687

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