QDT 2019年12月号
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94Feature article #2 近年ではサージカルガイドを使用してインプラント埋入手術を行うことにより、安全・低侵襲にインプラント埋入手術を行うことができるようになった。さらに術前に行った診断用ワックスアップと最終的な上部構造がまったく別のものになってしまったということも少なくなり、歯科技工士を悩ませる無理なインプラントポジションで技工作業を行うような機会も少なくなってきたように感じている。 しかし、単にサージカルガイドを使用してインプラント埋入手術を行えば良いという話ではない。たとえば、インプラント埋入シミュレーション(以下、シミュレーション)を行う前段階での確認作業を怠ると、シミュレーションしていた場所にインプラントが埋入されているのにもかかわらず、シミュレーション時の顎位を間違えていたことで最終的に補綴様式を変更せざるを得ないなどのトラブルに繋がりかねない。このような場合、ミスは出発地点からすでに起きている可能性が高く、咬合採得後にバイトの確認を怠っていたことが原因だと考える。筆者も過去にフルマウスの診断用ワックスアップを行い、シミュレーションを行ってガイデッドサージェリーでインプラントを埋入していただいたものの、バイトがずれていたせいで大きく補綴設計を変更しなければならなくなってしまったという経験をしたことがある。安全にインプラント埋入手術ができることには間違いがないが、これではシミュレーションをしてサージカルガイドを使用してインプラント埋入手術を行う意味が半減してしまい、トップダウントリートメントとは言えない。筆者はそういった経験からシミュレーションの前段階での確認を徹底することで、診断用ワックスアップによる補綴設計から大きな変更をすることなく最終補綴物を製作することができるようになった。 この一連の流れは現在ではルーティーンで行っており、シンプルで効率的、かつ後戻りの少ない方法だと考えている。本稿ではそれを踏まえ、歯科技工士の立場からトップダウントリートメントをスムーズに行うための5つのポイントを紹介したい。はじめにトップダウントリートメントをよりスムーズに行うための5つのポイント設計変更や後戻りを減らすための歯科技工士の目線からの提言Feature article #2足立哲也Dental Laboratory Arch 鳥取県米子市車尾6-184-11QDT Vol.44/2019 December page 1896

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