QDT 2019年12月号
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124クワタカレッジOBが見せる補綴ケースプレゼンテーション 「何故」を追求する歯科医師たち連載クワタカレッジOBが見せる補綴ケースプレゼンテーションを追求する歯科医師たち「何故」*1歯科医師・共愛歯科医院熊本県上益城郡益城町大字安永722-4*2歯科技工士・前クワタカレッジ校長、ボストン大学歯学部客員教授*3歯科医師・TEAM TOKYO ノブレストラティブデンタルオフィス東京都中央区八重洲2-5-6 KBYビル2階クから派生した術式を用いるとのことであった。筆者は、この話を聞いたときにたいへん理にかなった咬合理論であり、これなら具体的に補綴物を製作することができると確信した。筆者は、その当時大きな疑問を抱えていた。それは、全顎治療における補綴物の咬合面形態である。著名な先生方は犬歯ガイドで臼歯はディスクルージョンと述べておられたが、犬歯のガイドを具体的にどのくらいにして、臼歯をどのくらい離開させれば良いかということを明確に答えることのできる先生とは出会えていなかった。ほとんどの場合が、プロビジョナルレストレーションで経過をみて最終補綴物に移行するということであった。しかし、桑田先生からは明確な答えをお聞きすることができた。そして、その実技コースがあることを聞きさっそく受講した。模型製作から行い、28本の補綴物を製作するというクワタカレッジコンプリートコースである。私は、歯科技工士とともに1年間、そこで学ばせていただい第6回(最終回):顎関節症の患者にF.D.O.の咬合様式を応用した1症例はじめに 筆者が桑田正博先生と出会ったのは、2006年9月にクワタカレッジシニアコースを受講したときのことであった。その内容は、下顎の第二小臼歯と第一大臼歯と上顎中切歯の3本のP.F.M.(Porcelain Fused to Metal)クラウンを製作するものであった。当初、歯牙の形態と色調を学ぶものだと思っていたが、最初に話されたのは咬合についてだった。そして、その咬合の話の根底にあるものは「咬合の父」といわれたDr. Schuyler CHであった。Dr. Schuylerは、1961年に理想咬合のひとつとしてグループ・ファンクションド・オクルージョンを提唱して、現在でもその咬合様式は世界の歯科界に認められている。桑田先生は、実際にDr. Schuylerの補綴を担当し、試行錯誤した結果Dr. Schuylerに認められた咬合様式が本連載で繰り返し述べられているFunctionally Discluded Occlusion(以下、F.D.O.)であった。そして、F.D.O.を患者の口腔内で具現化するためにP.M.S.(Pankey Mann Schuyler)テクニッ*1三村彰吾 Shogo Mimura*2桑田正博(講評) Masahiro Kuwata*3北原信也(講評) Nobuya KitaharaQDT Vol.44/2019 December page 1926

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