QDT 2020年1月号
2/8

33補綴専門誌であえて考える 今求められるMIとCR直接修復(前編) 日本の保険診療では金属による補綴・修復治療が昔からの主流である。とくに臼歯部に隣接面う蝕が存在する場合、メタルインレーとすることが多い。メタルインレーは歯質との接着が難しいため、マイクロリーケージが生じたり、咬合力による歯質のクラックが生じたりすることで、それらが二次う蝕などの原因になるといわれている。また、世界的にも患者の審美性および長期予後に対する要求が強くなり、海外では金属による間接修復法が選択される機会が減少しており、メタルフリーの歯科治療が広く普及している。海外では臼歯のⅠ級・Ⅱ級窩洞はアマルガム充填、CR充填もしくはセラミックを用いた間接修復治療が行われることが多い。海外では多くの補綴・修復治療が保険適用外となっている。そしてセラミック間接修復治療よりも治療費用が低いCR充填が選択される場合が多い 一般的に間接修復治療では、隣接面を含め補綴修復物のマージンを正確かつ確実に適合させることができ、対合歯との咬合接触関係も精密に再現することができる。またプロビジョナルレストレーションを使用することで、最終補綴装置に与えるべき適正な歯冠形態も確認することが可能である。最終的に口腔内に装着される補綴・修復装置は、支台歯形成やプロビジョナルレストレーション、印象採得、咬合調整、セメンとされる。 近年、日本でもインターネットなどの普及により、患者もMI修復治療について詳しく知っている場合が多く、患者自身が「歯をできるだけ削りたくない」という要望を強くもつ場合が多くなってきたと感じている。当院でCR修復治療を希望される患者は、今までに受けた修復治療に起因する二次う蝕や変色、破折などの問題を抱えている場合が多く、再度の侵襲が少ない治療を希望されることが多い。また、CAD/CAMによる非常に安価なジルコニア製のインレー、アンレー、オーバーレイなどの修復治療を受けた患者も多く見受けられるようになった。これらは形成量も必然的に多くなってしまうため、MIまた接着の観点からも、CR修復治療が適応となる場合も多いと思われる。テーションなどさまざまなステップで歯科医師の技術力が要求される上に、歯科技工士の技量に左右されることが多い。そして、さまざまなステップが存在するために、最終的な補綴・修復装置までに長期間を要する場合がある。さらに印象材の変形や石膏の膨張により実際の口腔内とは少なからずとも誤差を生じるため、補綴・修復装置の適合不良につながる可能性がある。今、なぜMIとCR直接修復を重視するのかコンベンショナルな補綴・修復治療と、CR直接修復治療の違いとは切削量を減らすことが可能である。材料の接着性や物性の向上もあり、臼歯の咬合力のかかる部位やⅡ級窩洞にも対応できるようになってきた。さらに色調再現性や色調安定性も以前よりはるかに改善されてきている。 そこで本特集では、さまざまな過程を経て進化してきたCR修復治療について、最近の傾向も含めて解説させていただきたい。QDT Vol.45/2020 January page 0033

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る