QDT 2020年1月号
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歯科医師:虫歯になっているところを削ることは同じですが、そのあと直接法は、失ってしまった歯の部分をコンポジットレジンなどの材料でお口の中で「直接詰めて」治します。今の虫歯治療の流れでは、「ミニマルインターベンションデンティストリー」といって虫歯の部分だけを削って、歯に接着する材料で治療を終える考えかたが主流です。しかし、どのようなケースにも直接法が向いているわけではありません。その場合、間接法を選択します。間接法の場合は、修復物が入るように削った後に、型を採って石膏の模型上で精密にインレーなどの修復物を作ります。その修復物を次回来院時にセメントで装着します。したがって通常、直接法は1日で治療が終わりますが、間接法では2回は来院していただく必要があります。患者:1日で終わる直接法が良いのですが、できますか?歯科医師:虫歯の大きさと、虫歯になっている場所などによって直接法で修復できるケースと間接法を選択した方が良いケースがあります。小さな虫歯は問題ないですが、比較的大きな虫歯や隣接面とよばれる隣の歯との間に虫歯があるケースでは、直接法で治療することが困難な場合があります。できないわけではないですが、治療後に痛みなどの違和感がなく、隣の歯との間に食べ物が挟まらないで、長期間にわたって壊れずにしっかり噛めていただくことが治療の目的です。ですから壊れない強度が必要ですし、噛み合わせを正確に付与する必要があります。また、隣の歯との間に食べ物が挟まらないよう、元の歯の形と同じにするため、とくに比較的大きな虫歯の場合、間接法を選択した方が良い場合も少なくありません。患者:間接法を選択した場合、来院回数以外にどんなデメリットがありますか?歯科医師:直接法は、虫歯の部分のみを削って歯に接着する材料で詰めれば良いですが、間接法の場合、製作した修復物が入らなければいけません。ですから作った修復物が入るように健康な歯の部分を削る必要があることがデメリットと言えます。また、直接法で詰めるコンポジットレジンは歯の色調と合わせて元の自然な歯の色と同じようになりますが、間接法の場合、保険診療では、通常銀色の金属の修復物になります。コンポジットレジンによる白い修復物も選択できますが、強度的に金属より劣るので削る量が多くなります。保険外診療でよければ、セラミックなどの強度もあって歯の色と同じ修復物が選択できます。Q.直接法と間接法の違いは何ですか?D(A)臼歯部の窩洞に、コンポジットレジンを盛り始めているような状態(B)臼歯部の窩洞の上に、メタルインレーが浮いているような図(C)シリンジからコンポジットレジンを出して、充填器ですくい取っている図(D)片顎のアルジネート印象の印象面CBAD(A)臼歯部の窩洞に、コンポジットレジンを盛り始めているような状態(B)臼歯部の窩洞の上に、メタルインレーが浮いているような図(C)シリンジからコンポジットレジンを出して、充填器ですくい取っている図(D)片顎のアルジネート印象の印象面CBADり始めているような状態いているような図充填器ですくい取っている図BDめているような状態ているような図填器ですくい取っている図B押さえるべきポイント:あくまでも術者が診断することを伝えた上で、各種オプションを説明しよう 他方、間接法を選択するケースは、窩洞形成前に歯冠色による修復を望むか否か、また金合金による修復を選択するかを確認し、保険外の各種オプションを説明すべきである。 患者には、直接法と間接法のメリット・デメリットを説明した上で、う蝕除去後の歯質欠損の状態、部位、咬合状態などを考慮して術者が診断する旨を伝える。前歯はもちろん、臼歯部においてもレジン修復で対応できる窩洞は積極的に直接法で修復を行う。

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