QDT 2020年2月号
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歯科医師:虫歯を削って型を採って、石膏の模型上で詰め物を作って次回来院された時に装着する詰め物をインレーとよびます。メタルインレーは金属、セラミックインレーは歯の色に合わせたもので、見た目がいちばん大きな違いです。当然のことですが、金属がお口に入ると見た目が悪いことは否定できません。セラミックによるインレーは元の歯に戻ったように見えますので、審美的な点で非常に有利です。なお、保険で使用できる金銀パラジウム合金で製作するメタルインレーは、保険診療で使用できますが、セラミックインレーは、自費診療になります。患者:見た目以外の違いは何ですか?歯科医師:メタルインレーは、金属ですから壊れたりすることはまずありません。セラミックインレーは、昔は強度が弱くて装着後に割れることがありました。しかし、現在のセラミックインレーに使用される材料には、ガラスセラミックとジルコニアセラミックがあり、両方ともに強度的に満足できるレベルになっています。ただ、ガラスセラミックとジルコニアセラミックでは、ジルコニアのほうが強度面でより高いので、大臼歯などの強い力がかかるところに選択することが多くなります。また、金属を使用すると金属アレルギーが起こる可能性が否定できませんが、セラミックではそれがありません。そのほか、セラミックインレーは歯垢がメタルインレーより付きにくく、とくに歯ぐきに接している部分には歯周病から見ると安心です。なお、装着後に外れることや、虫歯になりやすいことなどには、装着するセメントが同じであれば大きな違いはありません。患者:セラミックインレーのデメリットは?歯科医師:セラミックインレーは自費診療になりますので、保険診療に比較して治療費の負担が違うこと以外では、強度の問題があります。現在使用されているセラミックは、あるレベルで強度的に満足できますが、それでも噛む力に対して壊れないための強度を保障しなくてはなりません。したがって、セラミックの厚みが必要なケースがあり、メタルインレーに比較すると歯を削る量が多くなる場合があります。Q.メタルインレーとセラミックインレーのいちばんの違いは何ですか?押さえるべきポイント:歯冠色か否かに加え、その他のメリット・デメリットも説明しよう質の削除量が多くなる場合があるため、説明しておいたほうが良いケースがある。また、メタルインレーのほうが二次う蝕に対して不利と説明する歯科医師がいるが、装着材料が違わなければそのエビデンスは認められない。 メタルインレーとセラミックインレーを説明する際、歯冠色修復のメリットのみを強調することは否定できない。しかし、そのほかのメリットを説明することにより、さらに患者の選択するための理解が深まると考える。一方、セラミックインレーのほうが健全歯

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