QDT 2020年2月号
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69中切歯における形態と表面性状の模倣 天然歯列に調和させるための「観察力」と「表現力」のポイントCase 1円形で表面性状がはっきりしている天然歯図1 ₁に装着されたジルコニアセラミッククラウン(松風ディスクZRルーセント FA、ヴィンテージ ZR、松風)。今回はこのクラウンの形態と表面性状を付与していく際に、どのような工程で行っているのかをサンプルを用いて解説していく。Final Restoration 本ケースは外形的には円形に分類される。患者の年齢は中年代であるが、唇側面隆線は摩耗しておらず、ほぼ若年代と同等の表面性状が確認できる。歯牙解剖学で呼称される各形態がほぼ全面的に備わっている歯牙形態とも言えるだろう。近心・中央・遠心の縦の隆線があり、歯頚部から切端に向かって横走溝・横走隆線としっかりと交差している。また、若年代によく観察される縦の隆線間にあるV字溝とよばれる箇所にはいくつかの細い副隆線なども存在しており、加えてさらに細かな溝と隆線が周波条として複雑に歯冠の全周を囲んでいる。目標天然歯の「観察」図2a、b 陶材の焼成が終了した状態。図3a、b まず、外形を整えると同時に遠心の舌側面窩の抜け(舌側面において、遠心辺縁隆線は通常切端まで達しておらず、辺縁隆線が切端部に達していない部分の舌側面窩は隣接方向に抜けている。これを片岡らは「舌側面窩の抜け」と表現している1)と大まかな隣接面溝をカーボランダムポイントP13(松風)で付与する。外形の調整Step 1ababQDT Vol.45/2020 February page 0211

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