QDT 2020年2月号
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93第2回:IOSをどこに設置する?/術者の負担を軽減するIOSの使用姿勢とは?/無線LANか? 有線LANか?ことは多々起こりうる。中でも、ちょっとしたことではあるが、IOSやそれを含めたCAD/CAMシステムの設置場所は意外と重要となる。 実際に歯科医師は、自分の診療所内のスペースやユニットの配置など、さまざまな要因を考慮し、さらに患者に対するアピールや動線などの実用面を考慮しながら設置位置を決定すると推察できる。そして、多くの歯科医師は一般的にスタート時点で1台のIOSのみ、もしくは1台のIOSとミリングマシンを含めたCAD/CAMシステムの組み合わせで導入するのではなかろうか。以下、その前提に立って述べてみたい。a.IOSの設置と移動 IOSを導入する歯科診療所が、1名の歯科医師と1台のユニットで日常臨床をすべて行っているのであればIOSをそのユニットに近接したいずれか取り回しが良いと思われる場所に常設することで、移動することもなく診療が行える(図1)。 しかし、多くの歯科診療所ではユニットを複数台保有しており、時には複数名の歯科医師が診療に携わっていると思われる。その際、1ヵ所の治療スペースにIOSを固定し、移動はせずにそこだけでIOSによる診療を行うのであれば、設置に関して迷うことはない。 しかし各ユニットで、複数の歯科医師がそれぞれIOSを用いて臨床を行う場合には、ユニット間でIOSを移動する必要が生じる。この場合に、IOSをふだんから設置する場所が、後の移動・取り回しの容易さに影響をおよぼす。 当院では現在、2台のIOSを所有している。そのうち1台をユニットへ移動しやすい位置である待合室受付側方に設置し(図2)、もう1台は広めのスペースを有する個室に設置している。移動することを前提とするならば、収まりが良く移動しやすい場所、すなわち動線を考慮した場所への設置が適しているといえる。 IOSのシステム形態にも種々あるが、ノートパソコンに接続して使用するタイプのIOSは持ち運びによる移動が容易である(図3、4)。またIOSと筐体が一体化したタイプは、手で持ち運ぶことは不可能であるが、図1 スイスにて、IOSを含めたCAD/CAMシステムを用い、直接法を主として日常臨床を行っている診療室の状況を示す。この歯科医院では、院内完結型によるone day treatmentにより多くの診療を行っている。非常に広いスペースを有しているため、余裕をもってIOSとミリングマシンを配置することが可能となっている。またこの他の主要な診療コーナーにも、各1セットのIOSを含めたCAD/CAMシステムが配置してあった。広いスペースが確保できれば余裕をもってIOSを設置できる当院でのIOS設置の実例図2 当院では、受付と待合室を中心におおむね放射状にユニットを配置してある。診療コーナーは、個室タイプとオープンスペースタイプが存在する。またIOSとミリングマシンは新旧2台存在し、そのうち1台は、待合室の受付の脇に設置してあり各歯科医師が診療を行うたびに診療コーナーへ移動する。この設置位置は、IOSを各診療コーナーへの移動しやすさを考慮し決定した。ミリングマシンは、スタッフの動線と、他の患者へのアピールを考慮し1台を同じ待合室に配置してある。またもう1台のIOSは、スペースの問題により1ヵ所の診療コーナーへ設置してある。もう1台のミリングマシンは、スペースと技工作業の問題から技工コーナーへ設置してある。QDT Vol.45/2020 February page 0235

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