QDT 2020年3月号
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 従来のオールセラミックレストレーションにおいてはレイヤリング法で製作された補綴装置が主流であったが、昨今ではモノリシックなマテリアルにステイン材を用いて色調表現を行うステイン法で製作された補綴装置が選択される機会が増えてきている。また、そのステイン法におけるマテリアル選択においても、以前はほぼリチウムシリケートガラスセラミックスしか選択肢がなかった状況であったが、近年ではジルコニアを選択するシチュエーションが増加傾向にある。 ステイン法においてジルコニアが選択される機会が増えた理由としては、高い強度をもちつつ、マテリアルの進化によって色調再現性が向上したことが挙げられる。強度においては、咬合圧が強い臼歯部に対してより壊れにくいマテリアルを使用したいという心理が大きく影響している。さらに複数歯に対するブリッジでの対応が可能になることも大きいであろう。強度を最優先するようなケースにおいては、ジルコニアが臨床応用され始めた初期の段階でもモノリシックジルコニアが選択される機会があった。しかし、この当時は強度を優先するために色調の調和は諦めざるを得ず、モノリシックジルコニアが選択されるケースはそう多くはなかった。しかし、高透光性ジルコニアやマルチレイヤードジルコニアが登場したことにより、その状況は大きく変わっていった。さらに、半焼結時のジルはじめに

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