QDT 2020年3月号
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QDT International Article歯科におけるロボット技術の応用Application of robotics in stomatology抄録 歯科治療へのロボット技術の応用は術者の労力を削減するだけでなく、治療の確実性を高めることができる。本研究では、歯科におけるロボット技術の応用や研究に関する文献のレビューを行う。キーワード:ロボット技術、歯科、デジタル医療序文 近年、製造技術の発達と三次元画像技術の普及により医療へのロボット技術の応用は大きく前進し、よりいっそう注目を浴びている。ロボットの利点には、高い正確性、高い効率性、そして安定性が挙げられる1。現在、臨床においては3つのロボット技術(Automated Endoscopic System for Optimal Positioning〔AESOP〕 robotic system2、ZEUS robotic surgical system3、Da Vinci Surgical System〔DVS〕4)が米国食品医薬品局(FDA)に認可されている。これら3つのロボット技術の外科手術におけるポジショニング精度はミリメートル以下のレベルであり、消化器、泌尿器、心胸郭の分野で広く応用されている。 現在ロボット技術は歯科の分野にも進出が始まっており、将来のこの分野におけるロボット技術発展に向けて、初期導入としての基盤作りが行われている。本論文では歯科におけるロボット技術の応用についてまとめる。補綴治療 適切な歯冠形成は歯冠修復の長期予後のために重要な要素である。しかしながら、狭い口腔内で行われること、人の手による動揺、そして歯科医師の技術的な制約などのために理想的な歯冠形成を行えないことがある。この問題を解決すべくYuanら5とWangら6は歯冠形成を行うためのLaserBot(図1)という小型レーザー加工ロボットデバイスを開発した。LaserBotは口腔内に入る小型ロボットエンドエフェクター、CADソフトウェアプログラム、フェムト秒レーザージェネレーター、6自由度レーザーガイドアーム、ロケーターのパーツから構成されており、ロボットが自動でレーザーを制御して歯を三次元的にQin Wu/Yi-Min Zhao/Shi-Zhu Bai/Xiang Li図1 LaserBotの口腔内アクチュエータ。

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