QDT 2020年4月号
8/8

87第4回:歯科衛生士に仕事の意味を的確に理解してもらおう/的確なアシスタントワークでデジタル歯科診療の質を向上しようレジンセメントの準備や下処理、接着後のセメント除去など多岐にわたり重要である。完成した補綴・修復装置を接着しようとした際に、歯科衛生士へ「セラミックプライマーを塗って、それからアドヒーシブ、そのあとクリアね。あ、エッチングも」などと俗称を立て続けに言ってもなかなか覚えることが困難で、間違いも起こりやすい。これは、歯科衛生士に限ったことではなく歯科医師においても同様といえる。補綴・修復装置に対する前処理や歯面処理が、どのような理論で行われるかということを適切に理解し把握しあうことで間違いをなくすことが可能となる。各社でバラバラの商品名をただただ暗記するより、各ステップの意味を理解したほうが早く覚えられ、ミスもなくなる。①IOSの利点を歯科衛生士と共有し、しっかり理解してもらおう 冒頭で述べたとおり、患者からすれば歯科衛生士はときに歯科医師以上に話しやすい存在となりえる。歯科医師には話しにくい、質問しにくい場合でも歯科衛生士には聞きやすいこともあると思われる。また近年、歯科医院によっては「トリートメントコーディネー IOSを使用したデジタル印象採得が、有効であること1は本連載でもすでに述べた。また、デジタル印象採得の目的としては、形成した歯などへの補綴・修復装置製作、さらにはサージカルガイドの製作や診断用バーチャルワックスアップの実施、および矯正治療のプランニングやマウスピースの製作準備などが挙げられる。他には、患者の口腔内画像を撮影してカウンセリングに用いる使用法もある(図1)。 歯科医師は、以上を整理し、確認することで歯科衛生士の仕事を明確化でき、効率の良いミスの少ない臨床が実行可能となる。 IOSなどの新しいシステムを導入した歯科医師からしばしば聞かれる質問として、「とくに経験の浅い歯科衛生士でありがちだが、手順や使用器具を覚えてくれずミスが多い。どうしたらよいのか?」というものが挙げられる。 IOSの使用目的として多数を占めるのは、前述のような補綴・修復装置を製作・装着する治療であろう。一般的に、IOSとCAD/CAMを用いて製作した補綴・修復装置は接着性レジンセメントを用いて口腔内へ接着させる。このとき、歯科衛生士による業務は接着性【デジタル印象採得前に:歯科衛生士に仕事の意味を的確に理解してもらおう】図1 IOSを用いて患者の口腔内写真を撮影し、状況を説明することでカウンセリングを円滑に行うことができる。IOSの活用法としては、非常に有効といえる。IOSで撮影した口腔内写真による患者説明QDT Vol.45/2020 April page 0513

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る