QDT 2020年5月号
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35座談会 接着の疑問を研究者に聞く! 臨床で気になるあれこれ(後編)飯田吉郎1992年 岡山大学歯学部 卒業1996年 ナディアパークデンタルセンター 開設2015年 European Association for Osseo-integration 認定医取得アストラテックインプラントシステム アンバサダー、SSRG 栄三丁目リサーチグループ主宰、Greater Nagoya Dental Meeting主宰歯科医師(座長)峯 篤史1999年     岡山大学歯学部歯学科 卒業1999年~2006年 岡山大学にて大学院生を経て補綴科(クラウン・ブリッジ) 助手2006年~2010年 ルーベン・カトリック大学(ベルギー王国)にて奨学生を経てポストドクトラル・リサーチャー2010年~2012年 岡山大学インプラント再生補綴学 助教2012年~2019年 大阪大学にてクラウンブリッジ補綴学分野 助教を経て口腔補綴科 講師大学教員(歯科医師)飯田真也2006年 愛知学院大学歯学部 卒業2007年 同大学歯学部臨床研修課程 修了、小島歯科 勤務2011年 いいだ歯科医院 勤務日本臨床歯科学会会員、日本顎咬合学会認定医、日本歯周病学会会員、日本臨床歯周病学会会員、日本接着歯学会会員歯科医師木雄一朗2005年 日本歯科大学 卒業2005年 (医)鉄焦会亀田総合病院歯科センター勤務2008年 吉木デンタルクリニック勤務2009年 Y'sデンタルクリニック開院日本臨床歯科学会名古屋支部理事、日本顎咬合学会認定医・中部支部理事、日本口腔インプラント学会会員歯科医師山北耕治1998年 広島大学歯学部附属歯科技工士学校 卒業、 吉木デンタルクリニック勤務2004年 渡米2006年 有限会社ファイン勤務2008年 渡米2012年 Innite Dental Laboratory開設日本顎咬合学会中部支部理事、大阪SJCDテクニシャンコース4期受講、大阪セラミックトレーニングセンター20期卒業歯科技工士mm程度必要?」となるのですが、世界的には「厚さも高さも1~2mmの残存歯質が1壁あればポストは不要」という発表が多くなっています。飯田(吉郎):そのお話は峯先生の論文1で拝読したのですが、前歯でも1壁あればポストは不要、という考え方なのですか。峯:その発表が海外では多いですね。私の臨床感覚としては、「さすがに前歯で1壁のみの残存歯質でポストなしというのは……」と思います。飯田(吉郎):また、ポストがない場合には歯質とコア用レジンとの接着面積が十分必要になりますが、そのあたりはいかがでしょうか。前歯ではどのくらいの深さまで可能になるでしょう?峯:コア用レジンは、デュアルキュア型を用いることで光が届かない部分も重合できるように考えられていますが、想像以上に光のエネルギーは重要であり、たとえデュアルキュアであっても光が当たらない部分ではコア材の物性や接着強さがずいぶん弱くなってしまいます。コア材に対して途中で光照射をして積層充填するにしても、光照射器から距離がありますので十分な強さの光が届きにくくなります。 ですので、こういった光重合の限界を考慮してポスト部の形成する深さを考えなおすべきかと思います。最近、私は「接着コア」という言葉を使わせていただいているのですが、接着ブリッジによって支台歯の形成量の少ない低侵襲なブリッジの提供が可能になったように、支台築造においても接着技術によってポストの必要性が減る流れになっていくと思います。木:具体的には何mm形成するべきなのでしょうか? もちろん残存歯質の量にもよると思うのですが。峯:おっしゃるとおり、いちがいに何mm形成すべきと申し上げることはできません。ただ、メタルコアに関して教科書的にいわれている根管長の2/3のポスト形成はレジンコアには不適切と考えます。われわれの研究では直接法でレジン築造した際に、根面から6mmのところで重合収縮によるギャップを確認しました(図1)2、3。QDT Vol.45/2020 May page 0603

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