QDT 2020年5月号
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62Feature article #2須藤哲也Defy千葉県松戸市西馬橋3-2-2 田川ビル201はじめに歯冠補綴を製作する歯科技工士がフルブリッジの製作で失敗しないために知っておくべき総義歯学前編:ろう堤の作り方 筆者は自費の義歯を製作する歯科技工所(Defy)を開設して多くの総義歯を製作してきたが、歯科技工士を生業としてから歯冠補綴を製作したことはない。このように、歯科技工士は比較的特定の分野の専門家として活躍しやすい職業であるといえる。ただ、特定の分野に特化しやすいがゆえに、専門学校を卒業以降、自分が専門にしている分野以外の補綴装置を製作したり、より深い情報を得たりする機会が少ない方も多いのではないかと思う。 しかし、臨床においては他分野にまたがる知識と技術が必要になるシチュエーションも確実に存在する。たとえばフルブリッジ、特に無歯顎患者に対して固定式のボーンアンカードブリッジで補綴治療を行う場合は、歯冠補綴の専門家に製作が依頼されることも多い。こういった場合、総義歯学に基づいた正確なろう堤を製作する手技が必須になると筆者は感じている。当然、フルブリッジの経験が豊富な方、また歯冠修復を専門にしていても総義歯学に対する造詣が深い方もおられる。しかし、そうでない方の場合、総義歯学の考え方を無視したことによるろう堤の不備が、最終的な補綴装置にも悪影響を与えているのではないかと推測できるような症例を目にすることもある。 今回の編集部からの執筆依頼は、歯冠補綴を専門にしており、そういった総義歯学の知識と経験を蓄える機会がなかった方に向けて、総義歯学の観点から歯冠補綴に応用できる考え方と手技を伝えて欲しいというものであり、ろう堤の製作手技についてまとめさせていただくことになった。 筆者は多くの義歯に関する執筆や講演を行わせていただいているが、これまでろう堤に関してまとめたこ4Aホール午後10/17(土)講演者論文QDT Vol.45/2020 May page 0630

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