QDT 2020年5月号
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90連載 Intra Oral Scanner : A beginner’s guideく1、術者によるデータのばらつきが少ないといわれてきた。たしかにそのとおりであるが、現実的な臨床上は果たしてそうであろうか。 「精度」を「適合性」に絞って述べると、これはIOSの性能だけでは計ることができず、加工機との相性や性能も大きく影響すると思われる。また術者の“腕”といってはいいすぎであるが、理解度にも少なからず影響を受ける。今回述べる範囲ではないが、窩洞や支台歯の形成、また歯肉のコントロールが不適切であれば良好な適合性を望むべくもない。 IOSによるデジタル印象採得は、さまざまな論文や雑誌で繰り返し報告されているように光が到達できない部分に対して行うことはできず2、この点を術者が理解しなければその状況に対して対応できない。 これらを包括的に考えればIOSによるデジタル印象 デジタル技術を補綴・修復治療、インプラント治療、そして矯正治療などさまざまな歯科治療に応用するならば、IOSによるデジタル印象採得、コンピューター支援による設計(CAD)、コンピューター支援による製作(CAM)、CT画像解析などが必要となる。 そして今後は、ソフトウェアの開発により、術前と術後で口腔内の状況を撮影し、データを蓄積していくことで経時的変化の観察も可能となる。IOSは今後、以上を大きな割合で担っていくと推察できる。その中で重要となる点は、可能なかぎり適切なIOSによるデジタル印象採得を行い、的確なデータを収集し正確なバーチャルモデルを構築することである。それには、術者のIOSに対する理解が重要である。 しばしば、IOSによるデジタル印象採得の精度は、従来の練成材料による印象採得に比較し劣ることはな【はじめに】第5回:IOSによるデジタル印象採得の注意点とその実際(前編)歯科医師・歯学博士八重洲歯科診療所/日本歯科大学生命歯学部接着歯科学講座東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街中1号中村昇司 Shoji NakamuraQDT Vol.45/2020 May page 0658

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