QDT 2020年5月号
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91第5回:IOSによるデジタル印象採得の注意点とその実際(前編)な製品が新しく開発・発売され、競争が激しい状況を鑑みるとより高性能なIOSが次々に登場すると推察できる。新製品は、旧製品に比較して精度や速度などの性能がかならず向上していると考えてよい。 IOSによる印象採得は今後、「光」とは異なる方式が開発されるかもしれないが、現在のところ光の反射によってデータ集積する光学印象採得である。光は直進する性質を有しているため、アンダーカットなどにより影(死角)となる部分は、ブロックアウトしていることと同じで、ないものとなる。 この“見えない部分は写せない”という特徴は、以前からさまざまな成書や文献に書かれていたので読者諸氏もよくご存じだと思う。①IOSによる印象採得は光学印象採得である IOSは光源をその構造内に有し、そこから光を発し(図1)対象物に反射させデータを集積・解析しバーチャルモデルを構築する。 IOSから発せられる光は、おおむね歯肉やエナメル質・象牙質に反応しやすい波長で500nm~750nm程度となっている。また、光源はレーザーやLEDなど、各社でさまざまである。そして計測方法は、アクティブ三角測量法や、共焦点法などが採用されている。各社IOSの性能や各種測量法の理論などに関しては、他多くの成書や論文に詳しく解説されているため本連載では省かせていただくが、最新の機種では超高速コントラストアナライシスという方式も採用されており、さらなる性能の向上が図られている。今後もさまざま【IOSの特性とルール】IOSによるデジタル印象採得は光学印象採得バーチャルモデルはポリゴンデータ図1 IOSは、内蔵されている光源から光を発し、反射光によるデータの集積ならびに解析を行うことでバーチャルモデルを構築する。図2 構築されたバーチャルモデルは、小さい点により構成された三角形の集合体(ポリゴンデータ)となっている(本図はデンツプライシロナ社提供)。採得の良否は、術者によって影響を受けると考えるべきである。IOSによるデジタル印象採得は、術者がIOSに関して適切に理解していれば容易で、今までにない恩恵を患者や歯科医療従事者へ供与することができる。QDT Vol.45/2020 May page 0659

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