QDT 2020年5月号
8/8

103第5回 3つのポイント その3:リマウント①図2e~j 歯科医師とともに義歯床辺縁形態と安定した咬合状態を作り上げていき、上下顎総義歯を完成させた。機能回復・審美回復が達成され、患者だけではなく、親族からも非常に喜ばれた症例である。患者とは治療開始当初はややコミュニケーションが取りにくいと感じることもあったが、完成に近づくにつれて徐々にお孫さんのことや患者の住まわれている場所から新幹線を利用して来院されていることなど、さまざまな会話をしていただけるようになった。 「噛めない。義歯が外れる。見た目が悪い」という義歯の問題は患者本人だけではなく、その家族にもかかわる問題であり、歯科医師と歯科技工士の共同作業によってその問題を解決することができると感じた症例である。図2a~d 義歯における多くの問題点は「咬めない、義歯が外れる、見た目が悪い」であるが、どうしてそのような状態になるのであろうか? 本患者は85歳女性で義歯の新製作を主訴に来院された。図は術前の状態。同伴された親族も交えてお話を聞いたところ、入れ歯が外れて「かぱかぱ」と口の中で音が鳴る、食事ができないなど、さまざまな悩みや問題を抱えている様子であった。遠方に住まわれている方であること、来院には診療所近くにお住まいの親族の同伴が必要であることから、来院回数を抑える必要があった。そのため、治療用義歯を製作せずに製作した症例である。図1 リマウントを行う目的。 リマウントを行うことによって、義歯を装着している状態の顎位を咬合器に付着した模型上で再現し、その状態で人工歯排列と咬合接触点の調整を行う。 こうして調整していくことにより、口腔内で的確な咬合接触点の付与と義歯の安定を得ることができる。dcgejhbafiQDT Vol.45/2020 May page 0671

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る