QDT 2020年6月号
2/8

33集学的アプローチによる歯間乳頭の再建 前編:歯間乳頭再建に関する文献レビューと外科的アプローチについて 歯間乳頭再建についてのレビューにあたり、inter-dental papilla[Title]をキーワードとしてPubMedで検索したところ、81論文がヒットした。81論文の内訳は表1に示すとおりであり、エビデンスレベルの高いとされるランダム化比較試験やシステマティックレビューはほとんど存在せず、数編の症例シリーズやnarrative reviewがあるのが現状であり、研究分野として未開拓な印象を感じた。本論文では、81論文のreviewに加え、“interproximal papilla”および“interdental papilla”を検索ワードとして収集した文献から重要な文献を抽出し、解説を進めていく。 歯間乳頭に対するアプローチとしてメインとなるのは外科治療、矯正治療、補綴治療、ヒアルロン酸による治療の4種類であることがreviewを通じてわかった。本稿では、歯間乳頭に関連する解剖学的特徴をはじめ、ヒアルロン酸による歯間乳頭増大術と結合組織移植による外科的歯間乳頭再建術について解説し、次稿では矯正治療ならびに補綴治療による歯間乳頭の再建について説明する。1)歯間乳頭の欠損分類 歯間乳頭の状態を語るにあたり、歯間乳頭の欠損分類を知る必要がある。さまざまある中でも代表的なのが、Nordland and Tarnowの分類である5(図1)。多くの研究でこの分類が用いられており、本症例報告についてもこの分類を用いて考察を進めていく。このNordland and Tarnowの分類におけるClass2やClass3は他人が認識できるレベルの欠損に相当し、患者の審美的要求度が高い場合は治療の対象となる。その他歯間乳頭を評価するIndexとしてCardaropoli(2004)のPapilla Presence Index6やNemcovsyのPapilla Index Score7などがある。2)健常者の歯間乳頭の解剖学的特徴 Chuらによると中切歯間、中切歯-側切歯間、側切歯-犬歯間の歯間乳頭高さ(Zenithから歯間乳頭の頂点1.歯間乳頭再建をテーマとした文献のレビューinterdental papillaで検索した文献の内訳・歯間乳頭の解剖学的特徴に関する研究(6論文)・歯間乳頭の知覚に関する研究(2論文)・外科的歯間乳頭再建術を10症例以上で実施した症例シリーズ(1論文)・ヒアルロン酸による乳頭増大術に関するケースシリーズ(4論文)・Narrative review(2論文)・3症例以下のケースリポート(外科治療:14論文、矯正治療:4論文、補綴治療:4論文、歯間乳頭の保存:5論文)・英文以外のもの(13論文)・歯間乳頭の再建とは関係のないもの(28論文)表1 PubMedを用い、“interdental papilla”で検索した文献の内訳(合計81論文)。QDT Vol.45/2020 June page 0747

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る