QDT 2020年6月号
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患者:支台築造とは何ですか?歯科医師:神経を失った歯の内部に神経などがあった根管があります。その根管の治療を行うことを歯内療法、あるいは根管治療とよびます。根管内の消毒が終了した後、根管内を閉鎖する目的で根管充填剤を根管内に詰めます。根管内を緊密に詰めておかないと細菌が繁殖するスペースが残ることになり、細菌によって根の先に病気ができる原因になります。その後、経過が良好ならば、元の歯の形に戻す治療に移ります。虫歯や外傷が原因で歯内療法を行ったということは、歯自体の失った量が少なくないため、被せ物をするための土台の治療を行います。それを支台築造とよびます。支台築造を行った後に元の形に戻すため被せ物を作ります。患者:「鋳造支台築造」と「レジン支台築造」の2種類があると聞きました。違いは何ですか?歯科医師:鋳造支台築造では、歯を削った後に型採りをします。その後、石膏の模型を製作してワックスから金属を鋳造して築造体という土台を作り、次回来院時に製作しておいた築造体を装着します。 レジン支台築造は、コンポジットレジンとよばれるいわゆるプラスチックで土台を作ることです。レジン支台築造は直接法とよばれる、直接お口の中で土台を作る方法と、間接法とよばれる、鋳造支台築造と同様な方法でレジンによる築造体を製作して、次回来院時に接着する方法の2種類があります。鋳造支台築造とレジン支台築造の違いは、直接法のレジン支台築造は1回の治療で支台築造が完了しますが、間接法の場合は、鋳造支台築造と同じく2回の来院が必要です。それ以外にも違いはありますが、支台築造法の選択は残っている歯の量、失った歯の位置、とくに強度が必要な場合や、歯肉の下まで欠損が及んでいる場合では金属による鋳造支台築造を選択したほうが安全とされています。患者:歯根に挿入する、「メタルポスト」と「ファイバーポスト」の違いは何ですか?歯科医師:支台築造にはポストが不要な場合と必要な場合があります。ポストを設置したほうが術後に支台築造ごと被せ物が取れにくくなりますが、ポストを設置する場合、根管の中を削ります。ポストを設置した場合、術後にポスト自体が折れるトラブルからみるとファイバーポストよりもメタルポストのほうが強度が高いため有利です。しかし、そのほかの点からは、ファイバーポストを選択したほうが多くのメリットがあります。ファイバーポストのメリットの中で、とくに術後のトラブルとして抜歯の原因となる歯の根が折れること、これを歯根破折と呼びますが、ファイバーポストを併用したレジン支台築造は、抜歯に至る重篤な歯根破折を避けるための対策として有効です。Q.支台築造って、何ですか? 材料の違いがどう関係するのですか?押さえるべきポイント:レジン支台築造を選択した場合、メタルポストとファイバーポストのメリット、デメリットを説明するポストとファイバーポストのメリット、デメリットを説明する。とくにファイバーポストを選択することが多いと想定されるので、そのメリットを説明することが重要である。 患者には、支台築造の意義、鋳造支台築造とレジン支台築造の違いを説明し、う蝕や既存の充填物などを除去後の歯質欠損の状態や位置、部位、咬合状態などを勘案して術者が診断した上で支台築造法を選択する旨を伝える。レジン支台築造を選択した場合、メタル

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