QDT 2020年6月号
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67歯冠補綴を製作する歯科技工士がフルブリッジの製作で失敗しないために知っておくべき総義歯学 後編表1 各年代における歯列と口唇の関係(参考文献1より引用し、一部改変して作図)。歯列と口唇のイラストは、上唇から上顎切縁がどの程度観察できるのかを4パターンに分類しており、20代から60代以上までの各年代において、それぞれのパターンがどの程度の割合で存在しているのかを表している。 20代では上から3番目のパターンが64.7%ともっとも多い(〇)。この上から3番目のパターンがもっとも審美的な歯列と口唇の関係であり、前編の平均値のろう堤はこの見え方になるように設定されている。 60代以上になると、上顎前歯は見えずに下顎前歯切縁が見える最上段のパターンが50.0%でもっとも多くなる(〇)。図1a~c 治療用義歯などを使用することによって噛むことができるようになった患者の口腔周囲筋は活性化し、顔貌や口唇の位置が変化して若返って見えるようになってくる場合も多い。その場合、リップサポートや切縁の位置も変化する。20代30代40代50代60代~5.5%7.4%11.4%29.4%50.0%13.5%10.0%10.8%22.6%33.7%64.7%67.3%61.7%40.8%19.3%15.1%14.3%13.6%13.6%7.6% ボーンアンカードブリッジを製作する場合にも、もともと総義歯を使用していた患者がボーンアンカードブリッジになるのか、天然歯を抜歯してボーンアンカードブリッジになるのかで噛む力や顔貌も変わってくると考えられる。 いずれにしろ、まずは平均値で製作した前編のろう堤が実際の口腔内や顔貌と異なっているのかを観察して必要があれば修正し、そこから咬合採得、咬合器付着、ゴシックアーチ採得、人工歯排列、人工歯排列試適という流れになる。後編ではこの一連の流れを解説していく。それ以降の工程は歯冠補綴と義歯で異なってくるが、人工歯排列試適までの流れは歯冠補綴において活用できる要素が多いと考えられるため、前編に引き続き臨床に取り入れていただければ幸いである。abcQDT Vol.45/2020 June page 0781

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