QDT 2020年6月号
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95第6回:IOSによるデジタル印象採得の注意点とその実際(中編)IOSでデータ集積し解析の後にポリゴンデータとして構成した場合には、データの凝集した部分とそうでない部分に差ができる(図3)。データが凝集する部分は主に窩洞の線角部のような狭く小さい部分で、角度が急であるほどデータは凝集しやすい。 インレー修復を例として見てみると、前述のように窩洞の線角と点角を明瞭なボックスフォームとすると鋭角的な部分にデータは凝集されやすく、フロアブルレジンを用いてデンティンシーリングを行い移行的としたほうがデータは移行的となる(図4)。またクラウンにおいても、マージン部の形態が緩徐な曲線であるヘビーシャンファーのほうが、急角度であるショルダーよりデータが凝集されにくい(図5)。 また支台歯や窩洞を構成するポリゴンデータの粗さや細かさにより、線角やフィニッシュラインにおける①IOSが採得するデータの質・量を意識しよう 本項の内容の一部は、前編にて解説済みであるため、前号とあわせてごらんいただきたい。IOSによって集積されたデータにより構築されたバーチャルモデルは、ポリゴンデータである。 バーチャルモデルは、三角形の集合体であるポリゴンデータによって構築されている。術者が画像として目にしている現在のバーチャルモデルは、非常に鮮明で面や線をきれいに表現しており、とても三角形の集合体であるとは思えない(図1)。しかしこれはあくまで点の集合体で、現実世界における実際・実物の面や線とは異なるものである。 一方、現実の歯や歯肉などは、均一の面や曲線、直線で構成されているわけではなくそれらが複雑に混在して起伏の激しい形態を成している(図2)。それらを【実際のIOSによるデジタル印象採得】(前回からの続き)現在のバーチャルモデルは非常に鮮明口腔内は複雑な形態で構成されている図1 現在のバーチャルモデルは、写真とまではいかないものの非常に鮮明で明瞭な画像となっている。図2 IOSによってデジタル印象採得を行う口腔内は、歯や粘膜にかかわらず起伏に富み複雑な表面の形態を有している。形態によってデータの凝集に差が生じる図3 ポリゴンデータは、デジタル印象採得を行った歯などにおける表面の様相(凹凸など)によって凝集する状態に差ができる。今回のポリゴンデータモデルは、筆者のデータを基にすべて西澤省三氏(デンツプライシロナ株式会社)のご協力によって製作された。QDT Vol.45/2020 June page 0809

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