QDT 2020年7月号
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患者:自費と保険のパーシャルデンチャーの違いは何ですか?歯科医師:同じように取り外しが必要ですが、歯科医師の気合いの入れようが快適さと壊れにくさが違います。自費だと前歯の裏側が薄い金属になっていて舌触りがいいですが、保険だと3mmぐらいの厚さのプラスチックですから、邪魔になります。また、自費だと金属が補強するので、壊れにくいです。さらに自費だと義歯ががっちりしているので、義歯で噛んだ力を粘膜全体で受け止めることができ、よく噛めますが、保険だと義歯がたわむので、一部の粘膜だけで力を受けることになり、強い力では噛みにくいです。図a、b 自費パーシャルデンチャー(a)と保険パーシャルデンチャー(b)。ab患者:保険の義歯の方が良い点もあるのですか? 歯科医師:費用が少ないです。自費だと30万円ぐらいかかりますが、保険だと3割負担の場合、8,000円ぐらいですみます。また、残っている歯が抜けてしまったときには、作り物の歯を追加しやすいです。ただ、自費だと30万円かかりますが、3年間使うと考えると1日300円です。患者:自費の義歯にもいろいろあるのですか? 歯科医師:そうですね。松竹梅があります。残っている歯には金具が掛かって見た目が悪くなるのですが、自費だといろいろ工夫ができます。目立たない形の金具(注:Iバーのこと)や、金属の金具がない設計も可能です(注:ノンメタルクラスプのこと)。 いずれにしても、今の義歯は、つぎはぎで壊れやすく、不潔になりやすいので、作り替えたほうが良いと思いますよ。Q.自費と保険のパーシャルデンチャーの違いは何ですか?押さえるべきポイント:患者ごとの自費と保険のパーシャルデンチャーについて説明しよう当にその患者において自費のメリットが発揮できる自信がない場合には、自費は勧めないほうがよい。 教科書的な自費と保険の義歯の違いを説明したのではダメである。個々の患者における設計について、該当する利点と欠点を説明できることが重要である。本

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