QDT2020年8月号
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98連載 Intra Oral Scanner : A beginner’s guide来の練成印象材が早急になくなるとは考えにくいが、今後IOSはより一般的な“道具”として普及し、何年後になるかは不明であるが種々の環境さえ整えば保険収載の可能性も否めない。 歯科医院がIOSを含めたCAD/CAMシステムをすべて揃える院内完結型の形態をとる場合には、そのメリットが非常に大きいものの初期投資としての金銭的負担は大きくなる。以上を鑑みると、IOSのみを購入し修復・補綴装置などの製作を歯科技工所へ外注する歯科医院は増加すると推察できる(図1)。当然そのような状況となれば、IOSを用いた症例に対して歯科医師と歯科技工士がともに連携して対応しなければならない(図2)。 筆者はIOSを用いたデジタル歯科治療に25年ほど携わっている経験より、歯科医師サイドから見ても歯科 IOSは今後、より歯科界に必要とされるようになってくると確信している。それは、今回の新型コロナウイルス感染症拡大のような事象に対して、歯科医療従事者が対応しなければならない必要性に迫られていることも挙げられる。IOSによるデジタル印象採得法は従来の印象採得法に比較して使用する器具機材が少なく、感染に対するわれわれの対応が容易になる。それは石膏模型を製作する必要がなく、実物が存在しないデータとしてのバーチャルモデルであり現実世界における煩雑な滅菌消毒の工程が不要であるためと言える。 以上は、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手をはじめ患者にとっても非常に有益と考えられ、“新しい日常”が始まった現在は“今こそIOS”の時代の幕開けと断言できよう。 IOSが市場に現れて、30年以上が経過している。従【はじめに】第8回:歯科技工士と歯科医師との連携について歯科医師・歯学博士八重洲歯科診療所/日本歯科大学生命歯学部接着歯科学講座東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街中1号中村昇司 Shoji NakamuraQDT Vol.45/2020 August page 1078

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