ザ・クインテッセンス2020年10月号
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25接着ブリッジを臨床でより活用するために:最近のトレンドと支台歯形成のTips 接着ブリッジは、欠損した両隣在歯が健全歯である場合には、インプラントとともに補綴歯科治療のオプションのひとつとなる修復方法であり、Minimal Interventionに基づいた治療方法である。接着ブリッジの始まりは、1970~1980年代の初頭にかけて考案された、エナメルエッチングを応用したロシェットブリッジや電解エッチングを応用したメリーランドブリッジであり、支台歯との結合は主に機械的維持によるものであった。それらの術式に接着性レジンセメントを導入したものが接着ブリッジとされる。 接着ブリッジの術式は、ポンティック部だけを支台歯に固定する直接法と、リテーナーを介して固定する間接法がある1。直接法による接着ブリッジでは、義歯用のレジン歯や抜去歯がポンティックとして用いられ、金属ピンなどの補強材料とともにMMA系レジンセメントやコンポジット系レジンセメントを使用して装着する。一方、間接法による金属製接着ブリッジでは、メタルフレームの改良が加えられ、接着面積を広くし、維持形態を確保した支台歯形成に変化している。さらに、金属を使用せずアルミナやジルコニアを用いた接着ブリッジも臨床応用されている。 接着ブリッジは、支台歯の歯質削除量を低減できることが利点のひとつである(表1)が、慎重な診断と熟練した技術がなければ、全部被覆型の支台歯形成よりも困難となる場合がある。一方で、歯の位置異常や捻転により全部被覆型の支台歯形成では支台歯の平行性が得られず、便宜抜髄を要する場合は、接着ブリッジが選択肢のひとつとなりえると考えられる。また、接Part 1:守備範囲を広げる接着ブリッジ─ジルコニアリテーナー、片側リテーナー─(藤田/三浦/小野/吉沢/藤澤)はじめに接着ブリッジの利点歯質削除量が少ない(支台歯隣接面や機能咬頭などを保護できる)歯質削除量がエナメル質内に限局されることが多く、局所麻酔が不要な場合があるフィニッシュラインは歯肉縁上となるため、印象採得が容易である歯周組織への影響が少ない脱離しても多くの場合再装着が可能である表1 本表は参考文献2、3より引用・改変。接着ブリッジの適応症1~2歯欠損支台歯の骨植が良好健全エナメル質を有する患者が多量の歯質削除を望んでいない場合インプラントが困難表2 本表は参考文献2、3より引用・改変。QDT Vol.45/2020 October page 1285

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