ザ・クインテッセンス2020年10月号
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97第1回 モデルレスの準備 CAD/CAMなどのデジタル機器の導入は多額の設備投資費と維持費がかかる。そのため重要なのは、何のために導入するのかというビジョンを明確にすることである。たとえば、単純に「インハウスでミリングをしたい」「IOSのデータを受け取るため」というのも間違いではない。しかし、ある程度は具体的な目標を決めたうえでデジタル機器を導入すべきであると考えている。筆者の場合、冒頭でも述べた時間を生み出すこと以外にも、クオリティを安定させること、外注費を減らすというコストダウンも導入の理由である(図1)。 そのビジョンとラボの受注内容・受注量によって導入すべき機器も変わってくる。そのため各社のデジタル機器をリサーチし、常に最新の情報を収集する必要がある。ただ、今後はIOSの普及という業界全体の変化が訪れるのは確実で、それに合わせてモデルスキャナおよびCADソフトの導入はお勧めしたい。デジタル機器を「何のために導入するのか」というビジョンを明確にするで適合調整するように、現状では手間をかけさえすればクオリティの差は生まれないかもしれない。しかし、今後IOSが普及してモデルレスでの補綴装置製作が求められたとき、急に対応しようと思っても無理があるため、そのときこそ顕著な差となって現れる。いかにそれを見据えて準備するかが重要であると考え、本連載のタイトルとして「Road to Modelless」と付けさせていただいた。精度安定時間短縮経費削減図1 CAD/CAMなどのデジタル機器を何のために導入するのか。筆者の場合、時間短縮、補綴装置の精度安定、経費削減を目標としている。ある程度は具体的な目標を決めたうえでデジタル機器を導入すべきQDT Vol.45/2020 October page 1357

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