QDT2020年11月号
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歯科医師・あらかい歯科医院Global Dental System代表福島県南会津郡南会津町関本下休場729-1松本勝利Katsutoshi Matsumoto 昨今の補綴・修復治療におけるデジタルデンティストリーの進歩には目覚ましいものがあるが、こうした中でも実用化が現在のところ困難と考えられているのが「支台歯形成の自動化」である。すでにこの目標に向けた研究発表も散見されるが、実際に生体に応用できるようになるまでには幾多の懸案事項が存在し、一般臨床での活用にはまだまだ長い年月を要すると思われる。デジタルデンティストリーの多くが、実は「技工作業のデジタル化」であるといわれるが、そのデジタル技術によって製作される補綴・修復装置を装着する支台歯の形成が、歯科医師の繊細な手作業に依存し続けることは皮肉ですらある。ともあれ、その支台歯の形態がデジタルはもとよりコンベンショナルな補綴・修復装置の形態や精度を決定づけることから、支台歯形成は補綴・修復治療における一大トピックスとしていつの時代も語られ続けてきたことは必然であり、その重要性は今後しばらくは不変であると断言できる。 こうした中、支台歯形成の理論とともに重視されてきたのが、支台歯形成を実践する際に必須のダイヤモンドバーである。これらは支台歯形態の付与やその作業性に強く影響するために、かねてからさまざまな著名臨床家やスタディグループがみずからのコンセプトを反映させた、独自のバーをメーカーとともに開発してきた。それらは一般の臨床家にそれぞれの開発者のコンセプトを伝えることに加え、日常臨床の助けとなってきた。そこで今回は、かねてから補綴・修復治療における講演・執筆多数の松本勝利氏に、このたび登場した「SELF CREATOR」(マニー,モリタ)を軸に、その開発のコンセプトと実際の使用法についてご提示いただく。(編集部)企画趣旨Feature Article #1新規バーセットの開発と、今求められる支台歯形成の基本Part1:前歯部編

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