QDT2020年11月号
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60 CAD/CAMが普及し始めてからすでに10年近くが経過している。当初はアナログでワックスアップを行った歯冠部と模型のスキャニングデータをマッチングさせるダブルスキャン法が主流の時期もあり、筆者もCAD/CAMを購入して数年はダブルスキャン法でクラウンをデザインしていた。しかし、Virtual Articulatorも含めたCADソフトの進化もあり、作業効率の向上を求めてCADソフトで直接歯冠をデザインするラボが増加し、現在ではデジタルデザインが主流になっている。 しかし、だからといってアナログ時代に学んできたワックスアップに関する考え方や手技がデジタルデザインに応用できないかといえば、そんなことはない。むしろ今まで培ってきた知識を継承していくという意味では、アナログでの考え方をデジタルデザインに落はじめにとし込み、CADソフトというツールを介することで、おもにCADデザインを行っていると思われるキャリアの浅い歯科技工士にもその考え方が伝わりやすくなるのではないかと筆者は考えている。 そこで今回は、筆者が学んできたアナログでのワックスアップのテクニックである「NAT」と「NFR」がどのような考え方なのか、そしてそれらをどのようにCADデザインに落とし込んでいくのかについて解説していきたい。特に「NAT」というワックスアップ手法は比較的臨床に取り入れやすい考え方であり、CADデザインにおいてもそれは同様なので、キャリアの浅い歯科技工士の方も含めてぜひ参考にしていただければ幸いである。 前編となる今回は「NAT」と「NFR」がどのような考え方なのかを紹介したい。長谷川篤史Organ Dental Lab神奈川県茅ヶ崎市東海岸北3-10-56Feature article #2NATとNFRを応用したCADデザイン患者固有の「解剖学的形態」と「ファセット形態」の作り方前編:「NAT」と「NFR」の考え方を知ろうQDT Vol.45/2020 November page 1446

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